ボーエ・モーエンセン「ハンティングチェア」誕生75周年を迎える

フレデリシアが限定75脚のアニバーサリーエディションを発表


デンマーク家具の名作「The Hunting Chair」が2025年に誕生75周年を迎え、Fredericia(フレデリシア)より限定75脚の記念モデルが発表されました。1950年、ボーエ・モーエンセンがキャビネットメーカーズ・ギルド展で発表したこの作品は、低く構えたリクライニングスタイル、露出した木製フレーム、厚革のサドルレザー張りによって知られています。素材の誠実さと構造の明快さを体現したデザインは、今日でもデンマーク・モダンの象徴とされています。

今回の記念モデルでは、FSC認証のアッシュ材にナチュラルオイル仕上げを施し、ダークブラウンのサドルレザーとライトブラウンの手縫いステッチを組み合わせています。金具にはポリッシュクロムのバックルを採用し、裏面にはモーエンセンのサインを刻印したスチールプレートと職人署名入りの証明書が付属します。1970年代末にモーエンセンと当時の経営者アンドレアス・グラヴァーセンによって一度だけ制作されたアッシュ材仕様が、今回の限定復刻の原型となりました。

フレデリシアCEOであり創業家3代目のラスムス・グラヴァーセンは「ハンティングチェアは私にとって単なるデザインではなく、人生の一部です」と語り、家族と共に受け継がれてきた家具の記憶を紹介しました。75周年モデルは、クラフトマンシップの継承と共に「日常に寄り添うデザイン」というモーエンセンの理念を改めて提示する作品となっています。


The Hunting Chairとは

1950年、ボーエ・モーエンセンがデンマーク・コペンハーゲンで開催されたキャビネットメーカーズ・ギルド展のために発表した作品です。狩猟小屋の室内を想定して設計され、素材の温かみと構造の合理性を両立するフォルムが特徴です。低めのシートと張り革のテンションが体を包み込むように支え、背後のベルト調整により座角を自在に変えられます。機能性と人間的な温もりを兼ね備えたこのデザインは、モーエンセンの代表作として今も世界中で評価されています。


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