機能主義が生んだ不朽の名作、フレデリシアが特別復刻
1945年にデンマークのデザイナー、ボーエ・モーエンセン(Børge Mogensen)が発表した「スポークバック・ソファ(Model 1789)」が、2025年に80周年を迎えました。これを記念して、デンマーク家具メーカーのフレデリシア(Fredericia)は、当時のオリジナル仕様に忠実な特別復刻モデルを発表し、改めてモーエンセンの機能主義的デザインの魅力を世界に伝えています。
スポークバック・ソファは、1945年のキャビネットメーカーズ・ギルド展で「未来の家」というテーマのもとに初公開されました。背面のスポーク(紡錘状の桟)を露出させた軽やかな構造、レザーストラップで可動するアーム、そしてゆるやかなラインで構成されたフォルムが特徴です。当時から革新的なデザインとして注目され、戦後のデンマーク家具が進むべき方向を示す重要な作品となりました。
このソファの最大の特徴は、ソファ・デイベッド・シェーズロングという三つの機能を兼ね備えている点にあります。アームを倒すことで姿勢や用途を柔軟に変化させることができ、限られた空間でも快適に過ごせる構造となっています。堅牢なオーク無垢材のフレーム、レザーストラップによる角度調整、取り外し可能なクッションなど、素材と機能の誠実な調和が見事に表現されています。
ボーエ・モーエンセンは生涯を通じて、日常のための実用的な家具を追求しました。彼の哲学は「人が主役であり、家具がそれに従うべき」という考えに基づいています。スポークバック・ソファはまさにその理念の結晶であり、使用者に静かな快適さと、素材がもつ温もりを届け続けてきました。現代においても、そのデザインは耐久性・修理可能性・サステナビリティの点で高く評価され、世代を超えて愛される存在となっています。





スポークバック・ソファとは
ボーエ・モーエンセンが1945年にデザインした「スポークバック・ソファ」は、デンマークモダンを象徴する名作です。背面のスポーク構造と、レザーストラップで角度を変えられるアームを備えた設計は、機能美と構造美を融合させた革新的な試みでした。現在もフレデリシアによって製造されており、80年を経た今もなお、タイムレスなデザインとして世界中のインテリアシーンで愛されています。