About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Fredericia(フレデリシア)
Year: 1945
Material: Oak, Leather, Fabric
Size: W65.5 × D70 × H88 cm / SH43.5 cm
Story
ハンス・J・ウェグナーがデザインした1788ラウンジチェアは、デンマークモダニズムの重要な作品のひとつであり、彼の哲学である「オーガニック・ファンクショナリティ」を体現しています。彫刻的で美しいフレームと、快適性を追求した座面や背もたれが融合し、家具が芸術作品であり得ることを示す象徴的な例です。
1945年、コペンハーゲンのキャビネットメーカーズ・ギルド展で初めて披露されたこの椅子は、ボーエ・モーエンセンとの共同プロジェクト「未来のアパートメント」の一部として紹介されました。しかし戦後の簡素な生活様式の中では「洗練されすぎている」と評され、本格的な量産が始まったのは1963年でした。その後、1974年にはウェグナー自身によって再設計が行われ、現在私たちが目にするデザインが完成しました。
この椅子の特徴は、無垢オーク材を使用した堅牢かつ美しいフレーム構造と、ボタン留めのクッション、さらに背もたれを支えるレザーストラップにあります。ストラップや構造材をあえて見せるデザインは、単なる機能的要素を超えて視覚的アクセントとなり、家具を360度どの角度からも美しく見せるというウェグナーの理念を体現しています。
座面は緩やかな角度で設計され、フォーマルなプロポーションを保ちながら、長時間の着座でも快適さを提供します。クッションは交換可能で、張り地はウール、リネン、ブークレ、ベルベット、さらには多様な革素材など幅広く選択できます。これは、長期使用と循環型デザインを意識した仕組みであり、持続可能性と職人技への敬意を示しています。
今日、1788ラウンジチェアはフレデリシアによって製造され続けており、注文生産により木材仕上げや張り地を細かくカスタマイズすることが可能です。そのため、歴史的なデザインの価値を継承しながら、現代のインテリアにも柔軟に調和する椅子として愛されています。