Plan møbler | プランモブラー


Story

プランモブラー(Planmøbler)は、デンマーク家具史において特異な位置づけを持つ工房である。その名の通り「Plan(計画)」と「Møbler(家具)」を組み合わせた社名は、建築計画と一体化した家具製作を使命とする存在であったことを示唆している。

 

特定のデザイナーや独自ブランドを前面に押し出す工房ではなく、建築プロジェクトに寄り添い、計画に基づき家具を実行・供給する役割を担った。その代表例が、アルネ・ヤコブセンとエリック・モラーが設計し、若き日のハンス・J・ウェグナーが全家具デザインを手掛けたオーフス市庁舎プロジェクトである。

 

プランモブラーは、そのプロジェクトを通じてウェグナーの初期キャリアにおける決定的な試金石となり、彼の才能を大規模に発揮させる舞台を提供した。社自体の詳細な歴史は謎に包まれているが、オーフス市庁舎の家具製作を通じて残した足跡は、デンマーク・モダニズムにおける創世記の一部を形づくっている。

 


About

Year:1940年代前半〜1950年代頃
President:不明
Designer:Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Place:オーフス


History

1938 アルネ・ヤコブセンとエリック・モラーによるオーフス市庁舎計画が始動
1941 ハンス・J・ウェグナーが市庁舎の全家具デザインを担当、プランモブラーが製造を受託
1941 モジュール式オフィス家具、タンブールドアキャビネットなどの製造開始
1941 タウンホールチェア(アームチェア・サイドチェア)が完成し、市庁舎に納入
1941 エグゼクティブ用の回転式オフィスチェア(モデル421/A721)を製作
1942 オーフス市庁舎完成、家具群が総合的なインテリアの一部として機能
1940年代後半 タウンホールチェアの改良版が継続的に製造される
1940年代後半 H・クナック・イェンセン工房などの下請けと協力し大量生産体制を構築
1947 市庁舎プロジェクトに関連した追加家具の製作が行われる
1950年代初頭 プランモブラーの活動は次第に確認されなくなり、記録から姿を消す


Furniture

・Town Hall Armchair | タウンホールチェア アームチェア
・Town Hall Side Chair | タウンホールチェア サイドチェア
・Executive Office Chair 421 / A721 | エグゼクティブオフィスチェア
・Tambour Door Cabinet A5622 | タンブールドアキャビネット
・Service Table | サービステーブル
・Wooden Hanger | 木製ハンガー
・Office Desk | オフィスデスク
・Desk Lamp | デスクランプ


Imprint/Label

・収納家具には「Planmøbler」の紙ラベルが貼られている例が多い
・ラベルが残存しない場合もあり、オーフス市庁舎プロジェクトとの来歴が真正性の証拠となる
・下請け工房(例:H・クナック・イェンセン)の刻印が見られる場合があり、製造史を裏付ける手がかりとなる
・「Aarhus Raadhus」と刻印された木製ハンガーなど、プロジェクト名を明記した備品も存在する

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