Story
Faarup Møbelfabrik(ファールップ・モーベルファブリック)は、デンマーク・モダン黄金時代における高級木製収納家具の名工房として知られている。1920年代に端を発する家族経営の木工事業を基盤とし、第二次世界大戦後の復興期に本格的なモダン家具メーカーとして再編された。
同工房の名声を決定づけたのは、イブ・コフォード・ラーセンとの協業である。彼がデザインした「FA-66」サイドボードは、チークやローズウッドを贅沢に使用し、ブックマッチ突板による絵画的な木目と精緻な構造で、工房の象徴として国際的評価を得た。またスヴェン・オーエ・ラーセンによるタンブールドア付きクレデンザも、その高度な木工技術を示す代表的な作品である。
Faarupの家具は、洗練されたライン、素材への深い理解、そして堅牢な構造によって特徴づけられた。背面まで美しく仕上げられたサイドボードや、蟻組による引き出し構造は、工業生産の枠を超えたクラフトマンシップを物語る。
1990年、Tvilum-Scanbirkへの吸収合併によって独立した歩みを終えたが、同工房が生み出した家具は現在も世界中のコレクターや美術館に収蔵され、デニッシュモダンを象徴する不朽の遺産として生き続けている。
About
Year:1922–1990
President:Sigurd Hallas、Johannes Hallas、Einar August Hallas
Designer:Ib Kofod-Larsen(イブ・コフォード・ラーセン)、Svend Åge Larsen(スヴェン・オーエ・ラーセン)、Jørgen Linde(ヨルゲン・リンデ)、Kurt Løvig(クルト・ロヴィグ)
Place:ファールップ
History
1922:Sigurd Hallasがファールップで家具製作を開始
1930年代:家族経営により木工家具を地域市場向けに生産
1940年代:戦時中は製造を縮小し、戦後に再建を模索
1948:JohannesとEinar August Hallasが事業を継承し、近代的工房として再編
1950年代初頭:ブランド「Faarup Møbelfabrik」としてモダン家具製造を本格化
1955:Ib Kofod-Larsenが協業を開始、サイドボードやデスクを設計
1957:FA-66 サイドボードを発表、工房の代表作として国際的評価を獲得
1960:輸出体制を整備し、アメリカ・イギリス・日本市場へ進出
1962:大規模な輸出契約を締結、海外での販売網を確立
1965:Jørgen LindeによるFA-31 ダイニングテーブルを発表
1967:Kurt Løvigがダイニング家具をデザインし、製品ラインを拡充
1968:Svend Åge Larsenがタンブールドア付きクレデンザをデザイン
1970年代初頭:約50名規模の従業員を抱え、欧州市場で高級家具メーカーとして確立
1972:拡張式ダイニングテーブルやウォールユニットを輸出用に製作
1975:エグゼクティブデスクなど大型家具を強化、オフィス市場にも進出
1978:Danish Furnituremakers’ Controlマークを取得、一部製品に付与
1980年代初頭:高級ローズウッド材を用いたモデルが国際市場で人気を博す
1983:北米市場でFA-66サイドボードが高額取引され、評価を確立
1985:国内家具市場の縮小により生産規模を段階的に縮小
1988:生産拠点の合理化を進め、輸出依存度をさらに高める
1990:Tvilum-Scanbirkに吸収合併され、独立工房としての歴史に幕を下ろす
Furniture
・FA-66 Sideboard | サイドボード
・Tambour Door Credenza
・Executive Desk
・Dining Table FA-31
・Extending Dining Table
・Wall Unit
・Bookcase
・Cabinet with Drawers
・Lowboard
・Highboard
・Serving Trolley