Story
Koefoeds Hornsletは、1926年にデンマークの町ホーンスレットでエイナー・コフォードによって創業された家具工房です。同工房は「高級家具(fine furniture)」の製造に特化し、卓越した木工技術と品質への徹底したこだわりを基盤としました。この哲学は、後に息子であるニールス・コフォードが工房を継承することで、世界的なデザインブランドへと発展していきました。
ニールス・コフォードは1950年代半ばから家具デザインを開始し、1960年代にはオーナー兼チーフデザイナーとして工房を率いました。彼のデザインは、軽やかでエレガントなフォルム、素材の美しさを活かす構造、そして人間工学的な快適性を兼ね備えたもので、特にダイニングチェアに強みを発揮しました。Peter、Lis、Ingrid、Evaといった、子供たちの名前を冠した「ファミリーチェア」シリーズは、彼の創作の中核であり、デンマーク・モダンの成熟を象徴する代表作群となりました。
工房はまた、ゲートレッグテーブルや伸長式ラウンドテーブルなど、椅子を引き立てるダイニングテーブルのデザインでも高い評価を受けました。さらに、サイドボードなどのケース家具にも独自の実験性を示し、木材の質感と現代的な利便性を融合させた革新的な作品を生み出しています。
2004年に生産拠点がタイへ移転したことで「Made in Denmark」時代は幕を閉じましたが、デンマーク製ヴィンテージ家具は現在も高い評価を受けています。加えて、CASØ Furnitureによる復刻生産によって、ニールス・コフォードのデザインは新しい世代へと受け継がれています。Koefoeds Hornsletの物語は、家族経営の工房が国際的なデザイン遺産となるまでの典型的な成功例であり、デンマーク家具史の重要な一章を体現しています。
About
Year:1926 – 2004(以降は海外生産へ移行)
President:Einar Koefoed、Niels Koefoed
Designer:Niels Koefoed(ニールス・コフォード)
Place:ホーンスレット
History
1926:Einar Koefoedがホーンスレットで工房を設立
1950年代:工房がダイニング家具製造に注力
1957:Peterチェアを発表
1961:Lisチェアを発表
1964:Evaチェアを発表、国際的評価を獲得
1960年代後半:ゲートレッグテーブル(Model 304)など多機能テーブルを展開
1970年代:ホーンスレットを拠点に生産を拡大
1980年代:Eva、Lisチェアを中心に海外市場でも人気を獲得
1990年代:北米を含む輸出市場で知名度を確立
2004:生産拠点をタイへ移転、デンマーク製ヴィンテージ時代が終焉
以降:CASØ Furnitureと提携し復刻シリーズを展開
Furniture
・Peter Chair
・Lis Chair
・Ingrid Chair
・Eva Chair
・Morten Chair
・Ole Chair
・Gateleg Table Model 304
・Extending Round Table
・Sideboard with Hotplate
・Standard Sideboard