Sorø Stolefabrik | ソーレ・ストーレファブリック


Story

Sorø Stolefabrik(ソーレ・ストーレファブリック)は、20世紀初頭にデンマークのソーレで創業した家具工房であり、デンマーク・ミッドセンチュリーモダンの黄金期に確固たる地位を築きました。創業者ハンス・ハンセンによって小規模な家具製造業から出発し、やがて法人化されることで本格的な工房として成長しました。その歴史は1904年創業説と1908年設立説が並存しており、個人事業から法人への移行という二段階を経た可能性が指摘されています。

 

同工房は初期には地元市場向けの椅子を中心に製造していましたが、すぐにダイニングテーブルやソファ、寝室家具などへと生産範囲を拡大しました。1950〜60年代には「シンプル、エレガント、機能的」という理念のもと、オークやチーク、ローズウッドなどを駆使した高品質な家具を生み出し、国内外で高い評価を獲得しました。特に日本とアメリカ市場において人気を博し、デンマーク家具の国際的評価を押し上げる一翼を担いました。

 

その成功の裏には、ポール・ヴォルザー、ヘニング・ケアヌルフ、アーリング・トルヴィッツといったデザイナーとの緊密な協業がありました。ヴォルザーは合理性と機能性を融合させたデザインを提供し、ケアヌルフは彫刻的で力強い造形を導入し、トルヴィッツは有機的で優美なフォルムを家具に吹き込みました。これらの作品群は、デンマークデザインの幅と奥行きを示す象徴的存在となりました。

 

しかし1970年代以降、国際的な価格競争の激化と大量生産家具の台頭により財政難に直面し、1983年に一度は幕を下ろしました。けれどもその名は消えることなく、2007年にブルーノ・ハンセンによる買収でブランドが再興され、ソーレの地に新たな工場を構えました。現代のSorø Stolefabrikは、過去の名声を継承しつつ新しいデザインコレクションを展開しており、ブランドは「伝統」と「再生」の両義性を持つ存在へと進化しました。

 

この工房の歴史は、単なる家具製造企業の枠を超え、デンマークデザインの理念と国際的な広がりを象徴するものです。現在でもその家具はオークションやヴィンテージ市場で高い評価を受け、デザインと職人技の普遍性を物語り続けています。


About

Year:1904–1983 / 2007再興
President:Hans Hansen、Bruno Hansen
Designer:Poul Volther(ポール・ヴォルザー)、Henning Kjærnulf(ヘニング・ケアヌルフ)、Erling Torvits(アーリング・トルヴィッツ)、Arne Hovmand-Olsen(アルネ・ホヴマン=オルセン)、Jørgen Gammelgaard(ヨルゲン・ガンメルガード)
Place:ソーレ


History

1904:ハンス・ハンセンがソーレで家具製造を開始
1908:法人組織「Sorø Stolefabrik A/S」として登記
1930年代:椅子製造を中心に事業拡大
1950年代:ミッドセンチュリー家具の製造で国際的評価を獲得
1958:ヘニング・ケアヌルフがModel 62ダイニングテーブルをデザイン
1960年代:ポール・ヴォルザーがModel 350ダイニングチェア、Model 358ロッキングチェアを発表
1960年代:アーリング・トルヴィッツによるローズウッド製ダイニングチェアが製造される
1960年代:米国と日本への輸出が拡大し、同社の代表的輸出市場となる
1970年代:大量生産家具との競合により財政難に直面
1983:事業閉鎖
2007:ブルーノ・ハンセンがブランドを買収し再興
2010年代:ヨルゲン・ガンメルガードのコレクションを展開し、現代市場での再評価を獲得


Furniture

・Model 350 Dining Chair | ダイニングチェア
・Model 358 Rocking Chair | ロッキングチェア
・Model 62 Dining Table | ダイニングテーブル
・Scissor Leg Chair | ダイニングチェア
・Model 330 Folding Chair | フォールディングチェア
・Dining Chair(Rosewood version) | ダイニングチェア
・Dining Table(Rosewood version) | ダイニングテーブル
・Dining Chair(Oak and Leather version) | ダイニングチェア

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