Story
Gabriel A/S(ガブリエル)は、1851年にデンマーク・オールボーで創業した歴史あるテキスタイルメーカーであり、173年以上にわたる歩みの中で革新と適応を繰り返しながら、世界的なコントラクトテキスタイル市場のリーダーへと成長した。創業当初は水車小屋から始まり、ウール生地の製造を基盤に発展したが、幾度もの危機や市場の変化を経ても持続的に成長を遂げてきた点が特徴である。
同社を際立たせるのは、1990年代後半に確立した「バーチャル・サービス・マニュファクチャラー」というビジネスモデルである。製造を戦略的パートナーに委託し、自社はデザイン、イノベーション、品質管理、サプライチェーン統合といった高付加価値領域に集中する体制を築いた。これにより、資本効率を高め、俊敏かつ持続可能な事業構造を実現している。
製品面では、スカンジナビア・ミニマリズムを基調としたデザイン哲学を貫き、機能性と美しさを両立させている。ニュージーランド産ウールやリサイクルポリエステルを用いた生地は高い耐久性を備え、EUエコラベルやOEKO-TEX®などの認証を早期に取得した点も先駆的である。また、廃棄物ゼロを実現する3Dニット技術「ShapeKnit」は、持続可能性と効率性を両立する画期的な技術として注目される。
さらに、2023年に開始した繊維リサイクルシステム「Gabriel LOOP」により、繊維から繊維への完全な循環型経済を実現した。この取り組みは2024年デンマークデザイン賞を受賞し、企業のサステナビリティ戦略を象徴するものとなった。Gabrielは今日、北米・アジアを含む主要市場に拠点を展開し、グローバルな建築家や家具メーカーとの連携を通じて、その存在感を強化している。
About
Year:1851 – 現在
President:Kjærs Mølle創業者一族、現CEO Thomas Pfeffer(トーマス・プフェファー)
Designer:内部デザインチーム、Cenk Kivrikoglu(ジェンク・キヴリコグル)
Place:Aalborg(オールボー)
History
1851: オールボーにてKjærs Mølleとして創業
1866: 工場火災で焼失後、創業者が再建
1960年代: 家具用ウール生地市場へ参入
1984: 輸出比率が15%に到達、国際化を開始
1986: Gabriel Boligtekstiler A/Sと合併しGabrielグループを形成
1991: 世界で初めてISO9001を家具用生地メーカーとして取得
1996: ISO14001を取得、環境経営を強化
1990年代後半: 製造をリトアニアにアウトソーシング、「バーチャル・サービス・マニュファクチャラー」へ転換
2003: Gabriel Asia Pacific設立、世界初のEUエコラベル認証を取得
2005: リトアニアの染色パートナーUAB Scandye社の株式40%を取得
2010年代: 輸出比率が90%以上に達し、グローバル企業へ成長
2023: 繊維リサイクルシステム「Gabriel LOOP」を導入
2024: OEM家具事業「FurnMaster」を分離・売却し、ファブリック事業に集中
Furniture
・Capture
・Focus Melange
・Runner
・Uptown
・Downtown
・Umber
・Passion
・Loop(Gabriel LOOP製品ライン)