Bovenkamp | ボーフェンカンプ


Story

Bovenkamp(ボーフェンカンプ)は、オランダのヒルフェルスムを拠点に活動した家具メーカーでありながら、デンマーク様式を取り入れた独自の製品で知られる特異な存在である。1946年に設立され、戦後の復興期には一般的な家具を製造していたが、1960年代に大きな転換を遂げ、デンマークのデザイナーとの協業を通じて国際的な評価を得るようになった。

 

同社はアクセル・ベンダー・マッセン、アーノルド・マッセン&ヘンリー・シューベル、イブ・コフォード=ラーセン、セヴェリン・ハンセンといったデンマークの巨匠たちと正式にライセンス契約を結び、そのデザインをオランダで製造した。このモデルは、単なる模倣ではなく正規のデンマークデザインを基盤としたものであり、品質とデザインの血統を保証する重要な仕組みであった。

 

Bovenkampの特徴的なスタイルは、堅牢なオーク材のフレームと、手に触れる部分に施されたチーク材の組み合わせに見られる。この素材の融合は「オランダ製、デンマーク様式」という同社のビジネスモデルを体現しており、純粋なデンマーク家具とは異なるユニークなアイデンティティを形成した。

 

さらに、国内外での展示会出展や厳選されたディーラー網の構築、広告戦略など、商業的にも極めて洗練された手法を取り入れていた。同社の家具は大量生産品ではなく、受注生産に近い形式で提供され、4~6週間の納期を要したことも高級感を高めた要因である。

 

今日、Bovenkampの家具はヨーロッパのデザイン史における国際協業の成功例として再評価されており、そのデザイン的価値と歴史的背景はコレクターにとって大きな魅力となっている。


About

Year:1946–1970年代後半
President:Jacobus van den Bovenkamp、Sieuwert de Boer
Designer:Aksel Bender Madsen(アクセル・ベンダー・マッセン)、Arnold Madsen(アーノルド・マッセン)、Henry Schubell(ヘンリー・シューベル)、Ib Kofod-Larsen(イブ・コフォード=ラーセン)、Severin Hansen(セヴェリン・ハンセン)
Place:Hilversum(ヒルフェルスム)


History

1946:Jacobus van den BovenkampとSieuwert de Boerにより、ヒルフェルスムに家具工場を設立
1946:2e Loswal 16番地にて事業開始、椅子張り工房を併設
1947:戦後復興需要に応え、アームチェアやソファなど一般的家具を生産
1950:オランダ国内市場向け製品で安定した売上を確保
1955:生産規模拡大、国内の複数ディーラーとの取引を開始
1960:製品方針を転換し、デンマーク様式のモダン家具を導入
1960:アクセル・ベンダー・マッセンと正式契約を締結
1961:Aksel Bender Madsenによるラウンジチェア「Edith」「Karen」を発表
1962:Arnold Madsen & Henry Schubellとの協業を開始、「Tove」「Kirsten」シリーズを製造
1963:Ib Kofod-Larsenがリクライニング可能なウィングバックチェアをデザイン
1964:Severin Hansenがコーヒーテーブルやネストテーブルを提供
1965:レザーソファを発表、希少モデルとして市場に登場
1966:工場拡張計画を市当局に提出、建築家Breebaardが設計図を作成
1966:フィンランド・ノルウェー家具のショールーム併設を計画
1967:ユトレヒト家具見本市に出展、オランダ国内外で注目を浴びる
1968:広告戦略を全国紙で展開、ブランドの地位を確立
1969:111の正規ディーラー網を確立、排他的流通モデルを構築
1970:受注生産方式を強化、納期4〜6週間で高級ブランドの地位を維持
1972:オークとチークの併用をシグネチャースタイルとして定着
1975:ヴィンテージ市場で一部モデルが希少価値を持ち始める
1978:事業縮小、北欧デザインの流行収束に伴い活動を停滞
1980年代以降:コレクター市場にて再評価が進む


Furniture

・Lounge Chair Karen
・Lounge Chair Edith
・Lounge Chair Tove
・Lounge Chair Kirsten
・Adjustable Wingback Chair
・Wingback Sofa
・Leather Sofa
・Coffee Table
・Nest Table
・Dining Chair

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