Story
Christensen & Larsenは、デンマーク・モダンデザインの黄金期を象徴する家具工房のひとつであり、単なる製造拠点としてではなく、時代の最先端を担うデザイナーたちのビジョンを具体化する重要な協働者として機能しました。彼らはコペンハーゲン家具職人ギルド展を舞台に、その卓越した技術と創造力を何度も証明し、デザイン史に名を残す多くの名作を世に送り出しました。
工房の歴史は、一人のデザイナーに依存するのではなく、Ib Kofod-Larsen、Jørgen Høvelskov、Peter Karpfといった多様な人物との協働により築かれました。その結果、「エリザベスチェア」や「ハープチェア」に代表されるように、時代ごとに異なるスタイルを受容しながらも、常に高水準のクラフトマンシップを維持しました。
Christensen & Larsenの特徴は、チークやローズウッドといった貴重材を駆使しながら、革新的で彫刻的なフォルムを正確に具現化した点にあります。工房はまた、シンプルでありながら有機的な造形美をもつ作品から、建築的な構造を持つ前衛的な家具まで、幅広いレパートリーを誇りました。
今日、同工房の作品は主要美術館に収蔵され、また世界中のコレクターによって高く評価されています。Christensen & Larsenは、職人技術とデザイナーの創造性が結びつくことで生まれる「協働の芸術」を体現した存在として、デンマーク・モダン運動における不可欠な存在であったといえるでしょう。
About
Year:1940年代 – 1970年代以降
President:Christensen、Larsen
Designer:Ib Kofod-Larsen(イブ・コフォード=ラーセン)、Jørgen Høvelskov(ヨーエン・ホーヴェルスコフ)、Peter Karpf(ピーター・カーフ)、Henning Kjærnulf(ヘニング・キャールヌルフ)、Rud Thygesen(ルド・テュゲセン)
Place:コペンハーゲン / Copenhagen
History
1940年代:コペンハーゲンにChristensen & Larsen設立。
1950:コペンハーゲン家具職人ギルド展に初参加、Ib Kofod-Larsenのラウンジチェアを出展。
1952:ギルド展に再度参加、注目を集める。
1956:「エリザベスチェア(U-56)」を発表。女王エリザベス2世が購入し、名を広める。
1957:ギルド展で新作を発表。国際的評価が高まる。
1959:Kofod-Larsenによる希少なラウンジセットを発表。
1962:ギルド展に出展、実験的なデザインを披露。
1963:Jørgen Høvelskovデザインの「ハープチェア(ヴァイキングチェア)」を製作。
1966:Peter Karpfデザインの合板ラウンジチェアを製作。後に美術館に収蔵。
1967:「オーバルチェア」を発表。
1970年代:Rud ThygesenデザインのLH-7 501アームチェアシリーズを製作。
1970年代後期:ポストモダン的な幾何学的フォルムの作品を手掛ける。
1980年代以降:工房活動は縮小するも、既存作品は高い評価を保持。
1990年代:美術館やコレクター市場で再評価が進む。
2000年代:主要オークションで高額落札が相次ぐ。
2010年代:ブルックリン美術館などの収蔵リストに記録される。
2020年代:Christensen & Larsenの名は再び脚光を浴び、研究対象として注目される。
Furniture
・Elizabeth Chair U-56 | エリザベスチェア
・Elizabeth Sofa U-56 | エリザベスソファ
・Harp Chair | ハープチェア
・Oval Chair | オーバルチェア
・Penguin Chair | ペンギンチェア
・Shell Chair | シェルチェア
・Sideboard(Ib Kofod-Larsen design)
・Dining Chair(Henning Kjærnulf design)
・LH-7 501 Armchair
・Lounge Chair(Peter Karpf design, 1966)