Frem Røjle | フレム・ロジェ


Story

Frem Røjle(フレム・ロジェ)は、1950年代から1960年代にかけてデンマーク・モダンを象徴する家具を生み出した工房です。詳細な創業者や設立年は未だ明確ではありませんが、その存在はデンマーク家具史において「隠れた名工房」として語り継がれています。

 

同工房の特色は、独自のブランドを前面に押し出すのではなく、ハンス・オルセンやポール・ヴォルザーといった著名なデザイナーとの協業に重きを置いた点にあります。そのため、今日ヴィンテージ市場においても「Hans Olsen for Frem Røjle」のようにデザイナー名とともに語られることが多く、職人技とデザインの調和を実現した舞台として認知されています。

 

製品にはチーク材やローズウッドなど高品質な素材が用いられ、卓越した木工技術によって彫刻的で美しいフォルムが生み出されました。特に、ハンス・オルセンが手掛けた「Roundette」ダイニングセットは、テーブルの下に椅子を完全に収納できる革新的なデザインで知られ、Frem Røjleの名を国際的に広めた象徴的な作品です。

 

また、ポール・ヴォルザーによるソファやデイベッド、ペーパーコードを用いたダイニングチェアは、機能主義に根ざした堅実さと快適性を兼ね備えており、同工房の幅広い製品ラインナップを支えました。これらの家具は、実用性と芸術性を兼ね備え、現代の居住空間においても評価され続けています。

 

Frem Røjleの家具は、製造から半世紀以上を経ても高い評価を保ち、Danish Furniture Controlの品質シールや製造刻印は、その真正性を示す重要な証としてコレクターから重視されています。工房としての物語は決して派手ではありませんが、デンマークデザインの黄金期を陰で支えた確かな職人技が、その最大の遺産です。


About

Year:1950年代–1960年代
President:不明
Designer:Hans Olsen(ハンス・オルセン)、Poul Volther(ポール・ヴォルザー)
Place:Røjle(デンマーク)


History

1950年代:デンマーク西部のロジェにて活動を開始
1952年:ハンス・オルセンが「Roundette(Dinette)」ダイニングセットをデザイン、Frem Røjleが製造
1950年代後半:ポール・ヴォルザーがソファやラウンジチェア、デイベッドを同工房で製作
1960年代:ペーパーコードを用いたダイニングチェアを製造、機能主義的な家具ラインを拡充
1960年代:デンマーク家具の輸出ブームに乗り、欧米市場での流通が拡大
1960年代後半:市場競争の激化により活動が縮小、工房の記録は途絶


Furniture

・Roundette Dining Set | ラウンデット ダイニングセット
・Model 390 Easy Chair
・Model 390 Sofa
・Dining Chair with Papercord Seat
・Daybed Sofa Model 981 “Diva”
・Rocking Chair

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