Story
J.L.モラーは、1944年にニールス・オット・モラーによってデンマークのオーフスに設立された家具工房です。彼は職人としての修業を経て、自らの哲学を体現するために独自の工房を立ち上げました。その核心は、デザインと製造を分離せず、一貫して自らの管理下で行うという全体的な生産モデルにあります。
モラーの家具は、流行に流されることなく普遍的な美を追求した結果生み出され、素材の完全性、人間工学的な快適性、そして精緻な木工技術を特徴としています。彼は「不要なものを取り除いた時に家具は完成する」と語り、最小限の要素の中に最大限の快適性と美を宿すことを目指しました。
工房は効率的な大量生産を拒み、流れ作業を取り入れることなく、熟練した職人が一脚の椅子を責任を持って仕上げる方式を貫いています。ペーパーコードを使った座面編み込みや、手作業による研磨など、時間と手間を惜しまない工程は現在も受け継がれています。
J.L.モラーの作品はデンマーク国内にとどまらず、1950年代から国際的に高い評価を受け、特に日本市場との親和性が強く、1970年代以降は日本が最大の市場の一つとなりました。今日もなおデンマークのホーイビーェアで生産が続けられ、三世代にわたる家族経営により、その哲学と品質は守られています。
About
Year:1944–現在
President:Niels Otto Møller、Jens Ole Møller、Jørgen Henrik Møller、Kirsten An Møller
Designer:Niels Otto Møller(ニールス・オット・モラー)
Place:Højbjerg(ホーイビーェア)
History
1944: ニールス・オット・モラーがオーフスでJ.L.モラーを設立
1949: 小規模な工房から家具の製造を開始
1951: モデルNo.71・No.55を発表、初期の代表作として評価される
1954: モデルNo.75・No.56を発表、堅実で普遍的なデザインを確立
1958: 工房を拡張しホーイビーェアに移転、生産体制を強化
1959: モデルNo.77・No.57を発表、軽快な背貫デザインで注目を集める
1962: モデルNo.78・No.62を発表、最も象徴的な作品として国際的に評価される
1966: モデルNo.79・No.64を発表、ラダーバック型の背もたれを導入
1968: モデルNo.80・No.65を発表、流れるようなフォルムのアームチェアを実現
1970: スツールNo.82を発表、ユニークな三本脚デザインで人気を博す
1972: 国際市場での需要拡大に伴い輸出体制を強化
1974: 日本市場への輸出を開始、日本の建築・インテリアに広く採用される
1974: デンマーク家具賞を初受賞、品質と職人技が高く評価される
1976: モデルNo.84・No.67を発表、公共施設にも導入される
1981: デンマーク家具賞を再受賞、伝統と革新の融合が称賛される
1981: モデルNo.85・No.68を発表、キャリア最晩年の作品として高評価を得る
1982: 創業者ニールス・オット・モラーが死去、息子のイェンス・オーレとヨーゲン・ヘンリックが後を継ぐ
1990: 工房が国際的なデザイン展示会に継続的に参加、存在感を示す
2000: サステナブルな木材供給のもと製造を継続、環境への配慮を強化
2010: 創業65周年を迎え、伝統的デザインを現代に継承する姿勢を強調
2015: ニールス・オット・モラーの孫娘、キルステン・アン・モラーがCEOに就任
2020: 世界35カ国以上に輸出を拡大、国際的ブランドとして確固たる地位を確立
2023: 「3daysofdesign」などのイベントに参加し、現代的な文脈で再評価される
Furniture
・No.55 Armchair
・No.71 Side Chair
・No.75 Side Chair
・No.56 Armchair
・No.77 Side Chair
・No.57 Armchair
・No.78 Side Chair
・No.62 Armchair
・No.79 Side Chair
・No.64 Armchair
・No.80 Side Chair
・No.65 Armchair
・No.82 Stool
・No.83 Side Chair
・No.66 Armchair
・No.84 Side Chair
・No.67 Armchair
・No.85 Side Chair
・No.68 Armchair