展覧会『20世紀北欧デザインの巨匠 スティグ・リンドベリ展』は、スウェーデンを代表する陶芸家・デザイナー、スティグ・リンドベリ(1916–1982)の独創的な創作世界を紹介する大規模な企画です。約300点におよぶ作品を網羅的に展示し、その初期から晩年までを総合的にたどる構成となっています。
展示の中心となるのは、日本でも広く知られる「ベルサ」シリーズをはじめとするテーブルウェアです。白樺の葉をモチーフとした大胆で親しみやすいデザインは、北欧デザインの象徴的存在となり、多くの家庭に浸透しました。また、ファイアンス(錫釉陶器)や一点もののアートピースも並び、日常性と芸術性を自在に往還するリンドベリの幅広い創作活動を体感できます。
さらに会場では、テキスタイルや絵本の挿絵、スケッチも展示されます。色彩豊かで遊び心に満ちたテキスタイルデザインや、柔らかな線描が魅力の絵本原画は、陶器作品とは異なるリンドベリのもう一つの顔を映し出します。分野を超えて展開された創造力の広がりが、来場者に強い印象を残すでしょう。
展覧会全体は、北欧デザインの歴史におけるリンドベリの存在を再評価するとともに、彼が提案した「生活に根ざした美」を改めて問いかける機会となります。モダンでありながら温かみを持つ作品群を通じて、北欧デザインの真髄に触れることができます。
会期・会場
会期:2025年8月21日(木)~9月7日(日)
会場:日本橋高島屋S.C. 本館8階ホール(東京都中央区日本橋)
スティグ・リンドベリとは
スティグ・リンドベリは20世紀スウェーデンを代表するデザイナーであり、陶芸家としても国際的に評価された人物です。彼はグスタフスベリ社でアートディレクターを務め、日常食器からアートピースまで幅広い作品を手がけました。そのデザインは、自然への深い関心と鮮やかな色彩感覚を基盤としており、特に「ベルサ」や「ビルカ」など自然のモチーフを活かしたシリーズは今なお多くの人々に愛されています。
また、彼は陶器にとどまらず、テキスタイル、ガラス、工業製品、絵本の挿絵など多岐にわたる分野で活躍しました。線描の自由さとユーモラスな表現は、彼の作品を温かく親しみやすいものにし、北欧デザインをより多くの人々の生活に浸透させる役割を果たしました。
リンドベリの活動は、アートとデザイン、実用と美の境界を軽やかに超えるものであり、北欧デザインの多様性と革新性を象徴しています。その功績は今日も世界中で高く評価されており、デザイン史における普遍的な存在として位置づけられています。