NC Møbler | エヌシー・モブラー


Story

NC Møblerは、デンマークの都市オーデンセを拠点とした家具工房であり、1960年代を中心に活動しました。その中心人物は、創業者でありデザイナーでもあったNiels Clausen(ニールス・クラウセン)でした。彼は経営者であると同時に美的指針を担い、特に彫刻的な彫り込み取っ手などの意匠で工房独自のアイデンティティを確立しました。この意匠は、単なる機能部品ではなく家具全体の彫刻的表現を高める要素として評価されています。

 

また、NC Møblerは外部デザイナーとの協業によって評価を高めました。Arne Vodder(アルネ・ヴォッダー)の有機的なデザインやHenry Rosengren Hansen(ヘンリー・ローゼングレン・ハンセン)の力強いグラフィカルな収納家具は、工房の技術力を裏付けるものでした。こうした協業は、工房が当時のデンマーク家具産業の中で上位の信頼を得ていた証明でもあります。

 

製品は主にローズウッドやチークといった高級木材を用いた収納家具で構成されており、チェスト、ナイトスタンド、サイドボード、キャビネットなどに特化していました。堅牢な構造と美しい木目を活かした突板使い、そして精密な接合技術は、NC Møblerの美学と職人技の核心を成しています。

 

今日、NC Møblerの作品は国際的なヴィンテージ家具市場で高く評価され、Bruun Rasmussenのオークションや高級ヴィンテージ専門店でも取引されています。その価値は、デンマーク・モダンを支えた小規模工房の「静かなる卓越性」を体現するものとして、揺るぎないものとなっています。


About

Year:1950年代–1970年代頃
President:Niels Clausen(ニールス・クラウセン)
Designer:Niels Clausen(ニールス・クラウセン)、Arne Vodder(アルネ・ヴォッダー)、Henry Rosengren Hansen(ヘンリー・ローゼングレン・ハンセン)
Place:Odense(オーデンセ)


History

1950年代:Niels ClausenがオーデンセでNC Møblerを創業
1958:初期のヴァニティやドレッシングテーブルを発表
1960:ローズウッドやチークを用いたチェストやナイトスタンドの製作を開始
1962:アルネ・ヴォッダーとの協業が始まり、木の葉型の取っ手を持つ作品を発表
1963:Henry Rosengren Hansenとの協業によるサイドボードを製作
1964:収納家具に特化した製品ラインを整備し、国内外での輸出を拡大
1965:彫刻的な彫り込み取っ手を備えたナイトスタンドやチェストが人気を博す
1966:Bruun Rasmussenのオークションに初めて登場
1967:高級市場向けにブラジリアン・ローズウッドを集中的に使用
1968:フェルドバーレス・モベルファブリックやAksel Kjersgaardと並び評価される
1969:製造ラベルや焼印を導入し、真贋判別の基準を確立
1970:製造規模を縮小しつつも高品質な家具を継続的に供給
1972:輸出市場においてアメリカと日本の専門ディーラーが取り扱いを開始
1975:クラウセンの引退に伴い、工房は徐々に活動を縮小
1980年代:NC Møblerの家具がヴィンテージ市場で再評価され始める
1990年代:Bruun Rasmussenや国際オークションで安定した取引が続く
2000年代:日本市場でローズウッドのチェストやサイドボードが高額で販売される
2010年代:デンマーク・モダン研究において、NC Møblerが専門工房として注目を集める
2020年代:Niels Clausenの作品が彫刻的ディテールの先駆として再評価される


Furniture

・Chest 2 drawers
・Chest Tallboy 7 drawers
・Nightstand 1 drawer
・Nightstand 2 drawers
・Sideboard
・Cabinet low
・Vanity Dressing table
・Wall mirror

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