Næstved Møbelfabrik | ネストヴェズ・モーベルファブリック


Story

Næstved Møbelfabrikは、1948年から1976年までデンマーク・シェラン島南部のネストヴェズに拠点を置いた家具工房です。デニッシュ・モダンの黄金時代に活動したこの工房は、チークやローズウッドを駆使した高品質な家具を生み出し、静かに、しかし確実にデンマークデザインの普及を支えました。

 

この工房の重要性は、アイナー・ラーセンとアクセル・ベンダー・マッセンというデザイナーデュオとの協業にあります。彼らはコーア・クリントの薫陶を受け、人間工学的機能主義を基盤としたデザイン哲学を展開しました。Næstvedは、このデザインを中産階級が手に取れる家具として工業的に実現する役割を担い、結果として「デザインの民主化」を体現しました。

 

また、家族経営的な性格を持つ運営体制は、製品の品質と一貫性を保証しましたが、一方で1970年代の国際競争と新素材・新様式の波に抗することは難しく、1976年に閉鎖へと至りました。それでも、Næstved Møbelfabrikの家具は今なお国際市場で高く評価され、デンマークモダンの静かなる遺産として語り継がれています。


About

Year:1948–1976
President:Einar Johansen、Ernst Jensen、Per Schmidt Pedersen
Designer:Ejner Larsen(アイナー・ラーセン)、Aksel Bender Madsen(アクセル・ベンダー・マッセン)
Place:Næstved(ネストヴェズ)


History

1948: Næstved Møbelfabrik設立、Einar Johansenが初代ディレクターに就任
1949: ラーセン&マッセンがコペンハーゲン家具職人ギルド展に出展
1950: Pontoppidanが「メトロポリタンチェア」を制作開始
1951: Ernst Jensenが工房の経営を引き継ぐ
1953: チークとローズウッドを用いた収納家具を発表
1955: ラーセン&マッセンがギルド展で高評価を獲得
1957: サイドボード No.1708を発表、タンブールドア機構を導入
1959: Willy Beckによるメトロポリタンチェアの主要生産が開始
1960: 「The Arts of Denmark」展にてメトロポリタンチェアが国際的評価を獲得
1961: Næstved製のダイニングテーブルが国内市場で人気を博す
1963: デスクシリーズを発表、真鍮取っ手と片持ち構造が特徴
1965: Per Schmidt Pedersenが経営を引き継ぐ
1966: チークとオークを組み合わせたダイニングテーブル No.1631を発表
1968: 長椅子・ソファシリーズを開発、住宅用市場に拡大
1970: プラスチック家具の台頭により販売が低迷
1971: 市場競争激化、国外メーカーとの価格競争が進行
1973: 社内で合理化が進められるが収益性は低下
1974: ラーセン&マッセンが最後のシリーズを発表
1975: 経済的困難が深刻化し閉鎖を決定
1976: Næstved Møbelfabrik閉鎖
1990年代後半: 工場跡地が教育施設として再利用される


Furniture

・Sideboard No.1708
・Dining Table No.1631
・Executive Desk
・Bookcase Series
・Dining Chair Series
・Bench Sofa

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