Story
Omann Jun Møbelfabrik(オーマン・ユン・モベルファブリック)は、デンマーク家具史における家族経営工房の成功モデルです。1933年の設立以来、三世代にわたり職人技を受け継ぎ、シンプルでありながら優雅なデザインを生み出してきました。その根底には「木材との特別な関係」という哲学があり、家具を単なる機能的な道具ではなく、人々の暮らしを豊かにする芸術的存在として捉えています。
創業者アンドレアス・オーマンは、父が経営していたØlholm Møbelfabrikの伝統を継承しながら、独自の工房を立ち上げました。戦後、息子たちであるグンニとビャーネが加わると、事業は飛躍的に拡大し、サイドボードやデスクなどを中心とした洗練されたモダン家具を世界に送り出しました。彼らは米国と欧州市場を積極的に開拓し、Omann Junを国際的に知られる存在へと成長させました。
デザインは著名な外部デザイナーに委ねるのではなく、常にオーマン一族の中で生み出されました。彫刻的なハンドルや特許取得済みの脚のデザインは、工房独自の意匠を象徴しています。これにより、Omann Junの家具は単なる製品ではなく、一族の伝統と誇りを体現した創造物といえるのです。
1980年代以降は高級オフィス家具の製造へと軸足を移しつつ、2000年代に入ると再びクラシックモデルの復刻が行われました。現在は三代目のウルリック・オーマンが経営を担い、Model 18やModel 100といった代表作を新しい世代に継承し続けています。Omann Junの家具は、今もなおデンマーク・モダンの美学とクラフトマンシップの生きた証として輝き続けています。
About
Year:1933-現在
President:Andreas Omann、Gunni Omann、Bjarne Omann、Ulrik Omann
Designer:Andreas Omann、Gunni Omann、Bjarne Omann
Place:Ølholm(オルホルム)、Horsens(ホーセンス)
History
1892:Niels OmannがØlholm Møbelfabrikを設立
1919:家具工房Ølholmが地域産業として発展
1933:Andreas OmannがOmann Jun Møbelfabrikを設立
1930年代:Ølholmとの協業により家具を大量生産、寝室家具を中心に展開
1940年代:第二次世界大戦後、実用家具の需要拡大
1950年代:GunniとBjarneが経営に参画、近代化を推進
1957:Gunni Omannが米国視察を行い新しい生産方式を導入
1958:代表作Model 18サイドボードを発表
1958:Model 75デスクを発表、国際的評価を獲得
1959:品質管理ラベルを取得した製品を市場投入
1960年代:サイドボードやデスクなど主要モデルを数多く展開
1961:Model 55ダイニングテーブルが発表され大成功を収める
1960年代後半:米国市場と欧州市場への輸出を拡大
1969:Ølholm Møbelfabrikを統合
1970年代:機能的で高品質なオフィス家具の製造を開始
1979:Bjarne Omannが経営を引き継ぐ
1980年代:クラシックモデルの生産縮小、オフィス家具へ移行
1990年代:国際市場での販売を継続しながら企業存続を図る
2005:Ulrik Omannが三代目社長として就任
2013:工房をHorsensの近代的施設へ移転
2016:Model 18サイドボードを復刻生産
2017:Model 100コーヒーテーブルを復刻生産
2020年代:クラシックモデルと現代家具を並行して製造
現在:家族経営を継続しつつ国際的ブランドとして評価される
Furniture
・Model 18 Sideboard
・Model 75 Desk
・Model 13 Highboard
・Model 19 Highboard
・Model 21 Sideboard
・Model 55 Dining Table
・Model 77 Desk
・Model 100 Coffee Table