Miyazaki Chair Factory | 宮崎椅子製作所


Story

宮崎椅子製作所は、1969年に徳島県鳴門市で創業された日本の家具工房です。その起源は、地域産業である阿波鏡台のスツールや椅子の製造にあり、下請けとして技術を磨きました。しかし2000年、二代目社長の宮崎勝弘がOEM依存から脱却し、自社ブランドの椅子づくりへと舵を切ったことで、新たな歴史が始まりました。

 

この転換を支えたのが「ワークショップ方式」と呼ばれる独自の開発手法です。デザイナーと職人が同じ工房に集い、試作を繰り返しながら改良を積み重ねる協働の文化が、同社の椅子づくりの核となりました。村澤一晃、小泉誠といった日本のデザイナーとの協業を皮切りに、工芸的技術とデザインが一体となった数々の名作が誕生しています。

 

特に注目すべきは、デンマークの巨匠カイ・クリスチャンセンとの関係です。同社は彼の代表作である「No.42チェア」を世界で唯一正規に復刻・製造する工房として知られています。クリスチャンセン本人が徳島に足を運び、細部まで監修した椅子は、オリジナルを尊重しつつ現代的に改良され、文化的遺産を未来へと継承する試みとなりました。 

 

さらに、イノダ+スバイエら国際的デザイナーとの協働によって、同社は技術的限界を押し広げる挑戦を続けています。その活動は「ジャパンディ」の理念を先駆的に体現し、日本とデンマークの美意識を深層で融合させた唯一無二の家具を生み出しています。宮崎椅子製作所は、徳島に根差しながら世界のデザインシーンに影響を与える稀有な存在であり、デザイン遺産の守護者として未来を紡ぎ続けています。


About

Year: 1969-現在
President: 宮崎勝弘
Designer: 村澤一晃、小泉誠、イノダ+スバイエ、Kai Kristiansen(カイ・クリスチャンセン)、Christian Vedel(クリスチャン・ヴェデル)
Place: Tokushima(徳島)


History

1969: 宮崎椅子製作所が徳島県鳴門市にて創業、阿波鏡台のスツールや椅子製造を開始
1970: 国内大手メーカーの下請けとして技術基盤を確立
1980: 鏡台スツールを中心に安定したOEM供給を継続
1990: 家具産業の変化に直面し、将来への危機感が高まる
2000: 宮崎勝弘が二代目社長に就任、自社ブランドへの転換を決断
2001: デザイナー村澤一晃、小泉誠との協働が始まり「ワークショップ方式」を確立
2002: 初のオリジナル製品開発に着手、工房文化が根付く
2003: 村澤一晃デザインによる「PePeチェア」の開発開始
2005: 「PePeチェア」がグッドデザイン賞を受賞し国内外で注目を集める
2006: デンマークのデザイナー、カイ・クリスチャンセンと交流が始まる
2008: クリスチャンセン監修のもと「No.42チェア」の復刻生産を開始
2009: 復刻プロジェクトが国際的に評価され、世界で唯一の正規ライセンス生産者となる
2010: 「ペーパーナイフソファ」などクリスチャンセン作品の復刻ラインを拡充
2012: イノダ+スバイエと協業、「DC09」チェアを発表
2013: 「DC09」がドイツiFデザイン賞を受賞
2014: 「DC10」など複雑な曲面加工を伴う革新的デザインに挑戦
2015: クリスチャン・ヴェデルの「Modus」シリーズ復刻を開始
2017: 海外市場への展開を本格化し、売上の40%以上を輸出が占める
2018: Kvadratなどデンマークのテキスタイルを積極的に導入
2020: 日・デンマーク両文化の融合を体現する工房として国際メディアに取り上げられる
2022: 新デザイナーとのコラボレーションを開始し現代的コレクションを拡大
2023: サステナブル素材の導入や技術革新により、未来のクラシック創造を目指す
2024: 国内外の展示会で高評価を獲得、デンマークモダンの継承者として再評価


Furniture

・PePe Chair
・No.42 Chair
・Paper Knife Sofa
・Paper Knife Ottoman
・Paper Knife Table
・DC09 Chair
・DC10 Chair
・Modus Chair
・Modus Table
・UNI-Senior Chair #4110

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