Christian Hvidt | クリスチャン・ヴィッド


Story

1946年にコペンハーゲンで生まれたクリスチャン・ヴィッドは、デンマークモダン第二世代を代表するデザイナーです。彼の父は、オーラ・モルゴー・ニールセンと共にHvidt & Mølgaardスタジオを率いたペーター・ヴィッドであり、工業化と家具デザインを融合させた革新者として知られています。クリスチャンはこの偉大な遺産を受け継ぎつつ、家具と照明という独自の領域で活動を展開しました。

彼のキャリアの中心を占めるのは、Søborg Møbelfabrikとの協業です。1970年代から1990年代にかけて発表されたSMシリーズのモジュール式収納家具は、柔軟性と実用性に優れ、現代のライフスタイルにも適応するものでした。高品質なオークやマホガニー、チークを用い、堅牢で機能的な家具を生み出した点で、デンマークデザインの精神を忠実に継承したといえます。

また、彼の名を国際的に知らしめたのは、照明メーカーNordisk Solarのためにデザインしたペンダントランプ「サファリ」です。父ペーター・ヴィッド、そしてオーラ・モルゴー・ニールセンとの共同制作によるこの作品は、世代を超えた象徴的な協業であり、1981年にはiFデザイン賞を受賞しました。

クリスチャン・ヴィッドは、急進的な革新者というよりは、伝統を現代に適応させる「洗練者」であり「進化論者」でした。素材の選択においても、1970年代は重厚なマホガニーやチークを多用し、1990年代以降にはパインやチェリーといった明るい木材を採用しました。この変化は、当時の国際的なインテリアトレンドを巧みに取り入れた証です。

今日、彼の作品は美術館コレクションに収められることは少ないものの、ヴィンテージ市場で堅実に評価されています。特にモジュール式収納家具は柔軟性と耐久性から高い人気を保ち、クリスチャン・ヴィッドの名を確固たるものにしています。


About

Year: 1946 –
Place: Copenhagen(コペンハーゲン)
Manufacturer: Søborg Møbler(ソボーグ・モブラー), Nordisk Solar(ノルディスク・ソーラー)


History

1946: コペンハーゲンに生まれる
1970: 家具デザイナーとして活動を開始
1975: Hvidt & Mølgaardスタジオ創設者が引退、父の遺産を背景に独自の道を歩み始める
1976: Søborg Møbelfabrikと協業を開始、モジュール家具SMシリーズを発表
1977: SM03を発表、機能性と拡張性で高評価を得る
1978: Model 420 アームチェアを発表、マホガニーとファブリックを組み合わせた洗練された椅子を制作
1980: Søborg社よりキャビネットやダイニングセットを発表
1981: Nordisk Solarのためにデザインした「サファリ」ランプがiFデザイン賞を受賞
1983: SM200を含む新たなモジュール家具シリーズを展開
1985: コンソールテーブルやサイドテーブルをデザイン
1987: ヴィンテージ市場で作品が流通し始める
1990: チェリーやパイン材を用いた作品を発表、素材選択の幅を広げる
1992: ダイニングセットを新シリーズとして展開
1995: モジュール家具シリーズのリファイン版を発表
2000: 作品がオークション市場で定期的に登場するようになる
2005: デザイン史研究でヴィッド家の継承者として再評価が始まる
2010: 北欧家具再評価の潮流の中で、クリスチャン・ヴィッドの家具が国際市場で注目を集める
2020年代: SMシリーズを中心に、彼の作品がヴィンテージ市場で確固たる地位を築く


Furniture

・SM03 Modular Wall Unit
・SM76 Modular Wall Unit
・SM200 Modular Wall Unit
・Model 420 Armchair | アームチェア
・Dining Set
・Console Table
・Side Table
・Cabinet Series
・Dresser Series
・Safari Pendant Lamp | サファリランプ

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