Erik Magnussen | エリック・マグヌッセン


Story

エリック・マグヌッセン(1940–2014)は、デンマーク・モダンの流れにおいて「自明性(of course!)」を追求した機能主義の巨匠です。陶芸からキャリアを始めた彼は、素材を徹底的に理解し、フォルムと機能を論理的に結び付けるアプローチを確立しました。そのデザインは「余分なものを削ぎ落した必然の形」として評価されています。

彼の代表作であるステルトン社のEM77バキュームジャグは、片手で注げるロッカーストッパーとカラフルな展開により、デンマークデザインを民主化させました。これはアルネ・ヤコブセンのシリンダラインを継承しながらも、より親しみやすく大衆的なアイコンへと進化させたものです。

また、フリッツ・ハンセンやエンゲルブレヒトといったメーカーと協働し、ChairikチェアやClickテーブルなどの革新的な家具を発表しました。これらは美しさだけでなく、スタッキング能力や省スペース性といったロジスティクス面での優れた解決策を提示するものでした。

彼はID賞やルニング賞、グッドデザイン賞など数多くの賞を受賞し、作品はMoMAやクーパー・ヒューイットなどの美術館に収蔵されています。デザインを単なる造形ではなく「生活をより良くする必然の道具」と捉えたその姿勢は、今なお多くの人々の生活に息づいています。

エリック・マグヌッセンは「デザイナーズ・デザイナー」と呼ばれるにふさわしい人物であり、その静かな哲学は北欧デザインの中で確固たる遺産を築きました。


About

Year: 1940–2014
Place: Copenhagen(コペンハーゲン)
Manufacturer: Fritz Hansen(フリッツ・ハンセン)、Stelton(ステルトン)、Engelbrechts(エンゲルブレヒト)、Paustian(パウスチャン)、Bing & Grøndahl(ビング&グロンデール)


History

1940: コペンハーゲンに生まれる
1960: 工芸デザイン学校を銀賞で卒業
1960: ビング&グロンデールでデザイナーとして勤務開始
1967: ルニング賞を受賞
1977: ステルトンよりEM77バキュームジャグを発表
1977: 家具賞(The Furniture Prize)を受賞
1983: デンマーク・デザイン・カウンシルより「デザイナー・オブ・ザ・イヤー」に選出
1989: パウスチャンよりMagnusチェアを発表
1996: エンゲルブレヒトよりChairikシリーズを発表
1996: ビンデスベル・メダルを受賞
1997: レッド・ドット・デザイン賞を受賞
1997: 日本のグッドデザイン金賞を受賞
2000年代: Plateauラウンジチェアなどを発表し活動を継続
2014: コペンハーゲンにて逝去


Furniture

・Magnus Chair | Paustian
・Chairik Series | Engelbrechts / Montana
・Click Table | Fritz Hansen / Engelbrechts
・Foldit Table | Engelbrechts / Montana
・Plateau Lounge Chair | Engelbrechts / Montana
・EM77 Vacuum Jug | Stelton
・Cutlery series | Stelton
・Modular shelving system | Paustian
・Office chair systems | Engelbrechts
・Ceramic vases and tableware | Bing & Grøndahl

PAGE TOP