Mogens Lassen | モーエンス・ラッセン


Story

モーエンス・ラッセン(Mogens Lassen, 1901-1987)は、デンマーク機能主義を確立した建築家であり家具デザイナーです。彼の作品は建築と家具の双方にわたり、数学的な精度と素材への誠実さを基盤としたモダニズムを体現しています。そのスタイルは、ル・コルビュジエやバウハウスの理念に触発されながらも、北欧的な光と自然への感覚と結びつき、独自の「デンマーク機能主義」として発展しました。

彼の幼少期は芸術的な家庭環境で育まれましたが、失読症のために学問的な道よりも職人的な訓練を受けたことが、その後のキャリアを決定づけました。左官やレンガ職人としての経験は、彼に構造や素材への触覚的理解を与え、建築を単なる理論ではなく実際的な創造行為として捉える基盤を築きました。

1920年代後半にパリで過ごした期間は、彼の思想を大きく転換させました。ル・コルビュジエの建築思想に触れたことで、幾何学的な合理性と機能性を重視する方向性が決定的となりました。この経験は、後の建築や家具デザインに一貫して表れています。

ラッセンはまた、弟フレミング・ラッセンやアルネ・ヤコブセンと共に「未来の家」を設計するなど、同時代の建築家やデザイナーたちと協働しました。その一方で、自身は厳密な幾何学や数理的秩序に基づくアプローチを貫き、独自の道を歩みました。

彼の代表作「クブス キャンドルホルダー」や「エジプシャンテーブル」、さらに「ML42 スツール」などは、今日でもデンマークデザインを象徴する作品として高く評価されています。その遺産は、現代のブランド「by Lassen」(現Audo Copenhagenの一部)によって受け継がれ、モダニズムの普遍性を証明し続けています。


About

Year: 1901-1987
Place: Copenhagen(コペンハーゲン)
Manufacturer: Fredericia(フレデリシア)Planmøbel(プランモブラー)、Audo Copenhagen(オードコペンハーゲン)


History

1901: コペンハーゲンに生まれる
1919: 左官・レンガ職人として見習いを開始
1923: デンマーク王立芸術アカデミーに入学
1927: パリに滞在し、ル・コルビュジエの思想に触れる
1930: クリスチャニアンドニールセンで建築実務に従事
1935: 自身の建築事務所を設立
1937: オードロップに「Systemhuset」を設計
1939: デン・パーマネンテ展の展示建築家を務める(1967年まで継続)
1940: 「エジプシャンテーブル」を発表
1942: 「ML42 スツール」をデザイン
1945: モダニズム住宅の設計を多数手掛ける
1950: コペンハーゲン家具職人ギルド展に出展
1955: 「サクセチェア」をデザイン
1960: 幾何学的構造を持つ家具作品を展開
1962: 「クブス キャンドルホルダー」をデザイン
1965: 建築と家具の双方で国際的に高い評価を受ける
1967: デン・パーマネンテ展の展示活動を終える
1970: 建築活動に加え、システム家具の研究を行う
1971: C.F.ハンセン・メダルを受賞
1975: 晩年は住宅建築と家具復刻に携わる
1980: 代表作が国際的なデザイン展に出展される
1987: コペンハーゲンで逝去


Furniture

・Egyptian Table ML10097 | エジプシャンテーブル
・Kubus 4 Candleholder | クブス キャンドルホルダー
・ML42 Stool | ML42 スツール
・Saxe Chair | サクセチェア
・Frame Storage System | フレーム ストレージシステム
・Wingback Chair | ウィングバックチェア
・Daybed Model 175 | デイベッド
・Dining Table ML90 | ダイニングテーブル
・Sideboard ML100 | サイドボード
・Coffee Table ML98 | コーヒーテーブル
・Armchair ML77 | アームチェア
・Sofa Model 219 | ソファ
・Shelving System ML60 | シェルフシステム
・Magazine Table | マガジンテーブル
・Writing Desk ML55 | ライティングデスク
・Low Table ML82 | ローテーブル
・Bench ML72 | ベンチ
・Dining Chair ML32 | ダイニングチェア
・Cabinet ML84 | キャビネット
・Side Table ML45 | サイドテーブル

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