About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)
Year: 1950
Material: Oak, Teak, Upholstery
Size: 幅56 × 奥行45 × 高さ(座面高42)cm
Story
CH39アームチェアは、ハンス・J・ウェグナーがカール・ハンセン&サン社のためにデザインした比較的珍しいモデルで、同時期に発表されたCH38サイドチェアと対になる存在です。直線と曲線が融合したアームレスト、わずかに湾曲した背もたれは、ユーザーに自然な快適さを与えつつ、構造的な美しさを強調しています。
製造はオークまたはチークを用い、座面には布張りが施されました。ペーパーコードを採用したウィッシュボーンチェア(CH24)と異なり、ファブリックを選択する自由度を持たせた点に特徴があります。これにより、家庭用のダイニングチェアとしてだけでなく、独立したアームチェアとしても幅広い用途に対応しました。
CH39は1950年代から60年代にかけて製造されましたが、量産・継続生産されたモデルではなく、現在では同社の公式カタログにも掲載されていません。そのため流通量は極めて少なく、ヴィンテージ市場において断片的にその存在を確認できるにとどまっています。
ウェグナーが中国椅子シリーズから着想を得たように、CH39のデザインにも東洋的な影響が色濃く反映されています。背から腕へと続く滑らかなラインは、明代の椅子の要素を北欧の合理性と人間工学を通して再構築したものであり、彼の「オーガニック・ファンクショナリズム」を体現しています。
今日では、CH39はウィッシュボーンチェアのような国際的アイコンではありませんが、その稀少性と、デザイン史における位置づけから、コレクターや研究者にとって再評価すべき「隠れた傑作」となっています。
