About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)
Year: 1960
Material: Oak, Teak, Paper cord, Rattan
Size: 幅 56 × 奥行き 50 × 高さ 81
Story
CH40チェアは、ハンス・J・ウェグナーがカール・ハンセン&サンのためにデザインした作品のひとつであり、1960年代に限定的に製造された稀少なモデルです。広く知られるCH24「ウィッシュボーンチェア」に比べると商業的な成功には恵まれませんでしたが、その存在はウェグナーとカール・ハンセン&サンとの成熟期の協働関係を象徴しています。
この椅子の特徴は、無駄を削ぎ落としたミニマリストなデザインの中に、ウェグナーの「オーガニック・ファンクショナリズム」が濃縮されている点にあります。シンプルな直線とわずかに湾曲した背もたれが、視覚的に軽やかでありながら人間工学的に優れた座り心地を提供します。
座面はペーパーコードまたは籐(ラタン)の編み込み仕様が確認されており、フレームにはチーク材とオーク材が用いられました。CH23と同じ編み方を採用していることからも分かるように、ウェグナーは既存の技術と構造を発展的に用い、変奏曲のように新たな作品を生み出していました。
生産期間が短かったため、CH40は今日では現行生産されておらず、ヴィンテージ市場でのみ入手可能です。その稀少性は、コレクターズアイテムとしての地位を確立し、家具史における静かな名作として評価されています。
CH24が「初期の成功の象徴」だとすれば、CH40は「成熟の証」としての意味を持ち、ウェグナーの創造の広がりと深みを伝える一脚です。

