About
Designer: Hans J. Wegner（ハンス・ウェグナー）
Manufacturer: Andreas Tuck（アンドレアス・ツック）
Year:
Material: Teak, Oak, Beech
Size: W130/140/150 × D90/100 × H72 cm
Story
ハンス・J・ウェグナーがデザインし、アンドレアス・ツックによって製造されたAT316ダイニングテーブルは、デンマーク・モダンの精髄を示す作品です。椅子の巨匠として知られるウェグナーは、テーブルの設計にも同じ美学を持ち込み、シンプルで有機的なフォルムを創り出しました。その流れるようなラインは、彼が椅子で培ったデザイン哲学をテーブルへと展開した証といえます。
AT316の特徴は、引き出し式の拡張板を備えた巧みな構造にあります。天板の下に収納された拡張板は、必要に応じてスムーズに引き出され、メイン天板と面一に収まります。この仕組みは金属部品ではなく、精密な木工加工によって実現されており、ウェグナーが木材そのものの特性を活かす姿勢を如実に示しています。
また、チーク材の天板とオーク材の脚という組み合わせは特に好まれ、温かみのある表情と明るい木目が空間に調和をもたらします。脚部はわずかに先細り、アーチ状の幕板が全体に軽やかさを与え、堅牢さとエレガンスが同居するデザインとなっています。
AT316は複数のバリエーションが存在し、サイズの異なるモデルが用意されていました。閉じた状態では6人掛けとして、拡張すると10人掛けが可能となり、家庭や集いの場で柔軟に対応できる機能性を備えています。日常の使いやすさと洗練されたデザインが融合し、ウェグナーの家具哲学「並外れた品質の、並外れたものではないもの」を体現しています。
テーブル裏面には「Fabrikat: Andr. Tuck Arkitekt: Hans J. Wegner Made in Denmark」と刻印されたスタンプがあり、オリジナルの真正性を示す証となっています。これは工房とデザイナーが築いた信頼関係の結晶であり、デンマーク家具史における重要な一章を物語るものです。
