PP75 Table | テーブル


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: PP Møbler(PPモブラー)
Year: 1982
Material: Oak, Ash, Stainless steel
Size: Ø120 / Ø140 × H72 cm


Story

PP75テーブルは、1982年にハンス・J・ウェグナーが手掛けたキャリア後期の傑作です。円形のダイニングテーブルという伝統的な形式を、構造と機能の本質にまで研ぎ澄まし、優雅なフォルムへと昇華させています。彼の哲学である「オーガニック・ファンクショナリズム」が最も純粋な形で表現された作品の一つです。

このテーブルの最大の特徴は、着席者の膝や脚の自由を妨げないために、脚部を中央に集約した革新的な構造にあります。ステンレススチール製のステイを用いた幾何学的な補強システムは、天板を安定して支えると同時に、軽やかで浮遊感のある視覚的効果を生み出しています。その姿はまるで天板が一点で支えられているかのように見え、機能性と美しさが高度に融合しています。

製造を担ったのは、ウェグナーと長年にわたり協働してきたPPモブラーです。一本の木から天板と伸長板を切り出すという徹底したクラフトマンシップは、単なる品質管理を超え、木材を生命ある存在として扱う哲学を体現しています。オークやアッシュといった堅牢で美しい素材に加え、ソープ、オイル、ラッカーなど多様な仕上げが選択可能であり、所有者が家具との関わり方を選ぶ余地を与えています。

PP75は伸長機能を備え、無垢材や突板の伸長板を追加することで、多様な生活様式に対応します。特に無垢材の伸長板は本体と同時に製作され、木目や色調の完全な調和が確保されます。この点は、PP75が交換可能な工業製品ではなく、一点ごとに設計された統合的な作品であることを示しています。

さらにPP75は、PP68チェアやCH24 “Yチェア”との組み合わせにより、その真価を発揮します。特にPP68は天板下にアームが綺麗に収まり、機能的にも美的にも最適なパートナーとして設計されています。空間においては単なる家具ではなく、中心的な存在感を放つ彫刻的オブジェクトとして機能し、ダイニング全体を引き締める役割を果たします。

ウェグナーの生涯にわたる探求の集大成であるPP75テーブルは、世代を超えて受け継がれるべき普遍的な価値を持ち、今日に至るまでデンマークモダンの精神を象徴する存在となっています。

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