Story
PPモブラーは、1953年にコペンハーゲン北部アレルズでラース・ペダー・ペダーセンとアイナー・ペダーセン兄弟によって設立されました。彼らは「何世代にもわたって愛され続ける家具を作る」という理念を掲げ、創業当初から木材への深い敬意と妥協なき職人技を根幹に据えてきました。
兄のラースは卓越した技術を持つ職人として工房の実務を統率し、弟のアイナーは建築家やデザイナーとの強固なネットワークを築きました。この役割分担は、工房が高度なクラフトと革新的なデザインの両立を可能にする原動力となり、やがてハンス・J・ウェグナーとの運命的な協業につながります。
ウェグナーはPPモブラーを生涯信頼し続け、その設計思想と工房の哲学は完全に一致しました。彼の代表作である「ザ・チェア」や「ベアチェア」「ピーコックチェア」などは、PPモブラーの技術によって形となり、世代を超えて継承されています。1991年にはヨハネス・ハンセン工房から製造ライセンスを継承し、デンマーク家具史の重要な遺産を守り抜く役割を担いました。
PPモブラーの家具作りの特徴は、樹齢100年以上の木材を一本単位で家具として仕立て上げる徹底した姿勢にあります。木目や色調の経年変化を揃えることで、数十年後も美しい調和を保ち続けることができます。さらに、蒸気曲げやフィンガージョイントといった伝統技術に加え、CNC加工など現代の技術も導入し、職人技の可能性を拡張しています。これにより、芸術性と機能性を兼ね備えた椅子が生み出されてきました。
今日に至るまで、PPモブラーは家族経営を維持しながら三世代にわたり哲学を継承し続けています。サステナブルな森林資源から木材を調達し、環境配慮型の家具作りを進めながらも、伝統的な職人技を尊重する姿勢は変わりません。日本市場とのつながりも深く、籐張り実演や限定モデルの製作を通じて、デンマークと日本の文化的共鳴を育んできました。
PPモブラーの存在は、単なる家具製造の枠を超えた「文化の担い手」としての意義を持ち、未来に向けてもデンマーク・モダンの精神を世界に発信し続けています。
About
Year: 1953–現在
President: Ejnar Pedersen(アイナ・ぺデルセン)/ Lars Pedersen(ラース・ぺデルセン)ー Søren Holst Pedersen(ソーレン・ホルスト・ぺデルセン)ー Kasper Holst Pedersen(キャスパー・ホルスト・ぺデルセン)
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Place: Allerød(アレロッド)
History
1937
アイナ・ぺデルセンがSøren Willadsen(ソーレン・ヴィラッドセン)にて見習いを始める。ヴィラッドセンに認められ、親密な関係を築く。
1943
ヴィラッドセンの紹介で国内でもトップクラスという評判のA.Iversen(アイヴァーセン)にて見習いを始める。後にヨハネス・ハンセンの職長となるトムセンに出会う。家具職人のための特別プログラムがあるデンマーク工科大学のコースを受講する。ナナ・ディッツェル、グレーテ・ヤルクと出会う。
1945
ソーレン・ヴィラッドセンで再び働き始める。
1948
ソーレン・ヴィラッドセンの勧めでウィラッドセンの息子クヌッドとともにコペンハーゲンで工房をはじめる。
1951
クヌッド・ヴィラッドセン、グンナル・アーガード・アンデルセン、ナンナ&ヨルゲン・ディッツェルとともにアート・ギャラリー兼オークション・ハウス、ヴィンケル&マグヌッセンでの企画展「Wood, Form and Color. A carpenter collaborates with artists」を企画する。
1953
兄であるラース・ペデルセンとともにPPモブラーを始める。相談をしていたイルムス・ボーリフスの営業担当によりぺデルセン兄弟の工房ということでPPモブラーと名づけられた。ナンナ・ディッツェルのデザインしたAP-26のフレームを製作する。その品質がアンカー・ピーターセンに認められ、ベアチェアのフレームのフレームの下請け製造を始める。
1950年半ば~後半
ボヴィルケの下請けを始め、BO59やワークテーブル、パネル張りの本棚など様々な家具を製造する。
ニールスヴォッダーの下請けを始め、NV45などを製造する。NV45の張地はイヴァン・シュレッチャーによって手掛けられた。
インテルナ、ヴィツォーエの下請けも始める。
イヴァン・シュレクターとともにモーエンスコッホのイヤーフラップチェアを製造する。
1960年頃
コル・クリステンセンの下請けを始め、PK11の笠木部分やPK54のリングを製造する。
機械工場を400平方メートル拡張する。ウェグナーのために多くのプロトタイプを開発し、それがゲタマやヨハネス・ハンセンで生産されるようになる。
1960年後半
バレッドチェアの生産がPPモブラーによってされるようになる。
1969
ウェグナーがPPモブラーに4脚の椅子のデザインを提供する。そのうちの2脚PP-201、PP-203がPPモブラーで生産されるようになる。ウェグナーはPPモブラーの名で販売をして欲しかったが、PPモブラーは販売組織がなく、当初はヨハネス・ハンセンを通して販売をすることになる。
1974
ポール・ケアホルムとともにルイジアナ・コンサートホールの椅子「Louisiana Chair」を製造する。ケアホルムからの信頼は厚く、一緒に木工家具の会社を立ち上げを提案されるほどであった。
1977
ラース・ペデルセンが引退する。アイナ―の息子のソーレンが入社する。最先端の機械と木材技術を導入して工房の近代化に着手し、作業の精度を向上させ、職人技の能力を高める。
1979
ポール・ケアホルムが死去する。1年以上たった後に未亡人であるハンネ・ケアホルムと恋人関係になる。
1980
ハンス・ウェグナーとともに家具製造者協会から家具賞が受賞される。デンマーク家具製造業者協会のカーステン・ソース会長は、デンマークの家具芸術にはアイナ・ぺデルセンがあまりにも少ないと言い、リセ・オステルガードは、ウェグナーとアイナ・ぺデルセンのコラボレーションがデンマークの家具芸術の世界的評価を確固たるものにしたと強調した。
「MESTERS MØBLER-家具職人アイナ・ぺデルセンセンの職人技」という名の展覧会が開催される。
1981
1966年にコペンハーゲン家具職人組合の展示会「キャビネットメーカーズギルド」が終了し、家具デザイナーや職人が新作を発表する場がない状況であったため、グレテ・ヤルク、ホルガー・ニッセンとともにデンマーク木製家具職人展(SE)を考案する。展示会は現在でも続いており、毎年秋に開催されている。SEの30周年の際には協会の名誉会員となる。
1982
意見の相違からアイナの息子のソーレンが退社して、フリッツ・ハンセンの研究開発部門に就職する。
1989
装飾美術館でヨハネス・ハンセン、カール・ハンセン、PPモブラー、ベルントが共同で「H.J. Wegner: en stolemagerーウェグナー:ある椅子職人」展を開催する。
1990
ヨハネスハンセンからウェグナーの名作のライセンスを引き継ぐ。
1992
ナナ・ディッツェルにトリニダード・チェアをPPモブラーで生産してもらうよう頼まれるが、ウェグナーの家具を扱っているため断る。プロトタイプでは木製の脚であったが、フレデリシアでは金属製の脚で生産されることになる。
アイナの息子のソーレンがPPモブラーに復帰をする。
1994
「Hans J. Wegnerーハンス・ウェグナー」展を開催する。この展覧会はデンマーク建築センターで開かれ、その後ベラ・センターで開催された家具見本市、トーンダーのSønderjyllands Kunstmuseumでも開催された。この展覧会は長く続き、日本、イスラエル、ベネズエラ、オランダ、スロベニアなどでも開催された。
1998
ソーレンがCEOになり、アイナが会長となる。
2001
ソーレンの息子キャスパーが入社する。
2003
工房が設立して50年を迎える。「exPPerimenterーPPモブラー工房の50年にわたるクラフトマンシップと実験」展を開催する。実験とはPPファニチャーがいかに既成概念にとらわれず、同じことの繰り返しに満足しないかを示すことであった。
2004
PP モブラー社の伝説的な職人技の達人であるヘンリー・フィスカーがPP モブラー社での勤続 50 周年となる。忠実な奉仕に対して女王から名誉勲章を授与されることになる。
2006
フィン・ユール建築賞を受賞する。
2009
トルヴァルト・ビンデスボル・メダルを受賞する。この賞はとても権威のあるもので、通常は建築家かデザイナーかアーティストだった。家具職人が受賞するのは異例であった。デンマーク家具芸術への生涯をかけた取り組みと、建築家やデザイナーとのコラボレーションが評価された。
2020
アイナ・ペデルセンが死去する。ソーレン・ぺデルセンが引退し、キャスパー・ぺデルセンがPPモブラーの代表となる。
2021
工房の70周年を記念する展示を開催ンが評価された。
2020
国際的なデザイン展に参加し、持続可能なデザインを発信
2023
トルヴァルト・ビンデスボル・メダルを受賞する。この賞はとても権威のあるもので、通常は建築家かデザイナーかアーティストだった。家具職人が受賞するのは異例であった。デンマーク家具芸術への生涯をかけた取り組みと、建築家やデザイナーとのコラボレーションが評価された。
2025
日本総代理店がPPモブラージャパンへ移行し、新たな展開を準備中
Furniture
PP105 Easy Chair | イージーチェア
PP76 Chinese Table | チャイニーズテーブル
PK27 Easy Chair | イージーチェア
Half Round Table | 半円形テーブル
PP571 Architects Desk | アーキテクツデスク
PP75 Table | テーブル
PP70 Table | テーブル
PP112 Easy Chair | イージーチェア
JH524(PP524) Deck Chair | デッキチェア
PP135 Hammock Chair | ハンモックチェア
PP589 Bar Bench | バーベンチ
PP586 Fruit Bowl | フルーツボウル
PP129 Web Chair | ウェブチェア
pp101 Chair | チェア
PP201・PP203 The First Chair | ファーストチェア
PP530 Tub Chair | タブチェア
JH521(PP521)Peacock Chair | ピーコックチェア
AP16(PP16) Easy Chair | イージーチェア
PP124 Rocking Chair | ロッキングチェア
PP58/3 Chair | チェア
PP56・PP66 Chinese Chair | チャイニーズチェア
PP52・PP62 Captains Chair | キャプテンズチェア
PP135 Hammock Chair | ハンモックチェア
JH701(PP701) Arm Chair | アームチェア
JH518(PP518) Bull Horn Chair | ブルホーンチェア
JH540(PP250)Valet Chair | バレットチェア
JH502(PP502)Swivel Chair | スイベルチェア
JH501・JH503(PP501・PP503)The Chair | ザ・チェア
PP58・PP68 Last Dining Chair | ラストダイニングチェア
JH505(PP505)Cow Horn Chair | カウホーンチェア
JH512(PP512)Folding Chair | フォールディングチェア
GE225(PP225) Flag Halyard Chair | フラッグハリヤードチェア
JH550(PP550)Peacock Chair | ピーコックチェア