Erhard Rasmussen | エアハルト・ラスムッセン


Story

エアハルト・ラスムッセンは、20世紀半ばのデンマーク・モダン家具史において重要な位置を占めるキャビネットメーカーです。彼はデザイナーではなく、卓越した職人技をもってデザイナーのビジョンを形にした「スネッカーメスター」として知られています。工房はコペンハーゲンのペーダー・スクラムスゲーデに所在し、ラベルにその住所を明記することで、作品の真正性を保証しました。

彼の名がルド・ラスムッセンや他のラスムッセン姓の人物と混同されることがありますが、エアハルト・ラスムッセンは独立した存在であり、特にボーエ・モーエンセンやポール・ヴォルターらとの協働によって傑作を生み出しました。

ラスムッセン工房は大量生産を行う工場ではなく、少量の試作や限定的なシリーズを中心に活動していました。そのため、現存する作品は非常に希少であり、今日のヴィンテージ市場においても特別な評価を受けています。

1950年のコペンハーゲン家具職人ギルド展示会で発表された「ハンティングチェア」は彼の工房の代表作であり、革張り部分は王室御用達のダールマン社が担当しました。このように、複数の名門工房との連携によって生まれた作品は、デンマーク・モダンの本質を体現しています。

ラスムッセンは、デザイナーの構想を最高水準の職人技で具現化する存在として、デンマーク・モダンの発展において不可欠な役割を果たしました。その工房は、伝統的木工と革新性を融合させた時代の象徴であり、今なお評価され続けています。


About

Year:1940年代後半 – 1960年代
President:Erhard Rasmussen
Designer:Børge Mogensen(ボーエ・モーエンセン)Poul Volther(ポール・ヴォルター)John Vedel-Rieper(ジョン・ヴェーデル=リーパー)
Place:Copenhagen(コペンハーゲン)


History

1940年代後半:エアハルト・ラスムッセンがコペンハーゲンに工房を設立。
1948:ボーエ・モーエンセンとの協業を開始し、初期の試作家具を製作。
1949:コペンハーゲン家具職人ギルド展示会に出展、チェリーチェアを発表。
1949:彫刻的なコンソールテーブルを制作、サクラ材と輸入材のワウォナを組み合わせた斬新な試みを行う。
1950:ボーエ・モーエンセンのハンティングチェアを製作、展示会で発表され注目を集める。
1950:ハンティングチェア初期版を限定12脚制作。
1950:革張り作業をダールマン社と協業、卓越したレザーワークを実現。
1951:家具職人ギルド展示会にモーエンセンの新作を出展。
1952:ポール・ヴォルターの自立型ソファを製作、展示会にて発表。
1952:同ソファはおそらく唯一の制作例とされる希少作となる。
1953:工房ラベル「Erhard Rasmussen Snedkermester Peder Skramsgade 8 København」が確認される。
1954:モーエンセンのダイニングテーブルを制作。
1955:テーブルベンチを制作、機能性を追求したデザインに貢献。
1956:大型ウォールシェルフシステムを製作、オークやチークを使用。
1957:ジョン・ヴェーデル=リーパーのダイニングチェアを製作。
1958:家具職人ギルド展示会で複数の作品を出展。
1960年代前半:スウェーデンのアクセル・エイナル・ヒョルトの作品製作が一部文献に記録される。
1960年代半ば:活動が縮小し、工房としての記録が徐々に途絶える。
1960年代後半:モーエンセンとの協業は終息。
1970年代以降:工房活動は確認されず、作品はコレクター市場で希少価値を帯びる。


Furniture

・Hunting Chair Jagtstol | ハンティングチェア
・Console Table | コンソールテーブル
・Cherry Chair | チェリーチェア
・Side Table | サイドテーブル
・Table Bench | テーブルベンチ
・Wall Shelf System | ウォールシェルフシステム
・Dining Table | ダイニングテーブル
・Armchair | アームチェア
・Dining Chairs set | ダイニングチェアセット
・Freestanding Sofa | 自立型ソファ

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