About
Designer: Finn Juhl(フィン・ユール)
Manufacturer: Niels Vodder(ニールス・ヴォッダー)
Year: 1953
Material: Brazilian Rosewood, Wool, Brass
Size: Sofa W190 × D82 × H78(SH42)、Armchair W75 × D80 × H78(SH42)
Story
NV53ソファは、フィン・ユールが1953年にデザインし、キャビネットメーカーのニールス・ヴォッダーが製作した三人掛けソファです。ソファ単体としても存在感を放ちますが、三人掛け特有の構造と造形がこの作品の魅力を一層際立たせています。
まず大きな特徴は、三人掛けの横幅を支えるフレーム構造です。後脚からアームレストへと連続する曲線は、三人掛けというサイズ感の中でより伸びやかに表現され、両端に大きく張り出すアームが全体を優雅に包み込むように構成されています。この有機的なラインは、二人掛けや一人掛けでは得られない、広がりのあるダイナミックな印象を与えます。
また、三人掛けだからこそ座面の浮遊感が際立ちます。真鍮金具を介してフレームから浮かせた座面は、長さを増すことで中央部分にも軽やかさが求められました。ヴォッダーの高度な技術によって実現されたこの構造は、単なる拡張ではなく、彫刻的美と安定性の両立を達成しています。
さらに、三人掛けの広さは機能性にも寄与しています。各座席が独立して快適に保たれるよう、座面の奥行きや背もたれの傾斜は精密に計算され、三人が同時に座っても姿勢が自然に整う設計となっています。ユールが人間工学に基づき寸法を割り出したことが、このスケール感の中で真価を発揮しているのです。
空間においても三人掛けソファは中心的役割を担います。NV53ソファはどの角度から見ても美しく、リビングルームの中央に配置されることで彫刻作品のような存在感を放ちます。その大きさは単に機能性を高めるだけでなく、空間全体をデザインの舞台へと変える力を持っています。
このようにNV53ソファは、三人掛けならではのスケールと構造的工夫によって、フィン・ユールのデザイン哲学とニールス・ヴォッダーの職人技をより鮮明に体現する作品となっています。