Dream table | ザ・ドリームテーブル


About

Designer: Finn Juhl(フィン・ユール)
Manufacturer: Niels Vodder(ニールス・ヴォッダー)
Year: 1945
Material: Cuban Mahogany, Teak, Zinc, Glass, Lacquer
Size: W124 × D72 × H44


Story

「ザ・ドリームテーブル」は、フィン・ユールが1945年に発表した唯一無二の傑作です。戦後直後のコペンハーゲン家具職人組合展で公開され、その有機的なフォルムと鮮烈な色彩は、沈鬱な時代に対する希望の象徴として大きな注目を集めました。

テーブルトップはパレットを思わせる自由な形状で、ターコイズブルーのラッカー仕上げが施されています。中央にはチーク材で作られた蛇腹式の収納部があり、蓋を開けると鮮やかなイエローが現れます。さらに、亜鉛の象嵌やガラスキャニスターが組み込まれ、異素材が共鳴し合うユールらしい実験性が見られます。

フレームには希少なキューバ産マホガニーが用いられました。これは当時の一般的なチーク材とは異なり、特別な注文に応えるための贅沢な選択であり、この作品がプロトタイプではなく芸術的声明として構想されたことを示しています。

このテーブルの製作を可能にしたのは、家具職人ニールス・ヴォッダーの高度な木工技術でした。繊細な脚部の構造、流れるような接合部、細部に至るまでの仕上げは、まさにユールとヴォッダーの協業の結晶といえます。ヴォッダーの技がなければ、この挑戦的なデザインは実現し得ませんでした。

一点物として製作された「ザ・ドリームテーブル」は、その後長らく所在不明でしたが、2017年にブリューン・ラスムッセンのオークションに出品され、予想を大幅に上回る価格で落札されました。この事実は、作品の持つ芸術的価値と歴史的意義を改めて証明するものであり、今日ではデンマークモダンデザイン史における象徴的遺産として位置づけられています。

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