FD516 Rectangular Coffee Table | 長方形コーヒーテーブル


About

Designer: Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsen(ピーター・ヴィット & オルラ・モルガード=ニールセン)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1956
Material: Teak, Rattan, Brass
Size: W 140 × D 60 × H 50 cm


Story

FD516長方形コーヒーテーブルは、Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsenによって1956年にデザインされ、France & Daverkosen(のちのFrance & Son)によって製造されました。デンマークモダンの黄金期に誕生した本作は、工業化と伝統的な素材美を高度に融合させた象徴的な作品として知られています。

このテーブルの最大の特徴は「浮遊する美学」です。二段構造の下段棚が真鍮のブラケットによって支えられ、まるで宙に浮かんでいるかのような印象を与えます。重厚なチーク無垢材のフレームと対照的に、籐の編み込みが施された下段棚が軽やかさを演出し、真鍮部材の光沢が全体の造形に洗練されたアクセントを加えています。

構造的にも、脚部はテーパーを持たせた細身の形状でデザインされており、堅牢なチーク材を用いながらも軽快さを損なわない工夫がなされています。また、接合に金属部品を積極的に採用することで、従来の高度な木工接合を省略し、組み立て効率や輸送性を高めることに成功しています。これは、AXチェアで確立したノックダウン思想を家具全般へ展開する試みの一環といえます。

製造を担ったFrance & Daverkosenは、戦後デンマーク家具の輸出を牽引したメーカーであり、1950年代半ばには国内輸出の60%を占めるまでに成長しました。FD516は、そうした大量生産と国際輸出の頂点において生まれた製品であり、デザイナーと工房の協働がもたらした成果を体現しています。

FD516長方形コーヒーテーブルは、重厚感と軽快感、伝統と工業化を兼ね備えた作品として、デンマークモダンの本質を明快に示すモデルです。今日に至るまで、その造形と構造は国際的に高く評価され続けており、モダンリビングに普遍的な美をもたらしています。

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