About
Designer: Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsen(ピーター・ヴィド & オルラ・モールゴー=ニールセン)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1950
Material: Teak
Size: W 58 × D 38 × H 50 cm
Story
FD524 ネスティングテーブルは、ピーター・ヴィドとオルラ・モールゴー=ニールセンによって設計され、1950年代に<a href=”https://denmark-design.com/france-daverkosen/”>France & Daverkosen(後のFrance & Son)</a>から製造された代表作です。3台一組の入れ子構造によって設計された本作は、限られた空間を効率的に活用するための合理性と、デンマークモダン特有の美学を兼ね備えています。
このテーブルの最大の特徴は、使用時にはそれぞれ独立したコーヒーテーブルやサイドテーブルとして機能し、未使用時には一つのフットプリントに収められる点です。集合住宅が増え始めた戦後のデンマークにおいて、こうした省スペース設計は非常に重要視され、グローバル市場に向けた輸出家具としても高い競争力を発揮しました。
Hvidt & Mølgaardは、軽量性と分解可能性を重視する設計哲学を持ち、このFD524でもその精神が反映されています。脚部はわずかにテーパーを持ち、複数台を重ねても無駄なスペースが生まれないよう精緻に設計されています。加えて、製造時には厳密な公差管理が行われ、分解や再組立を繰り返しても安定性が保たれるよう工夫されました。
素材にはチーク材が採用され、耐久性や湿度変化への強さだけでなく、経年変化による美しい色調の深化も楽しむことができます。この点は輸出市場、とくに米国やドイツにおいて「北欧家具の高級感」を象徴する要素となり、デンマークデザインの国際的評価を高めました。
FD524は、単なるリビング用の補助テーブルを超えた存在であり、工業化と輸出という時代的要請に応えつつも、日常の暮らしを豊かにする柔軟なデザインを実現した傑作です。現在もなおヴィンテージ市場で高く評価され続けており、Hvidt & Mølgaardの合理的かつ詩的なデザインアプローチを象徴する作品のひとつとされています。