JH591 Dining Table | ダイニングテーブル


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: Johannes Hansen(ヨハネス・ハンセン)
Year: 1960
Material: Teak, Oak
Size: W 120 × D 120 × H 72 cm(+ 2 Extension leaves 50 cm each)


Story

JH591 ダイニングテーブルは、1960年代にハンス・J・ウェグナーがデザインし、ヨハネス・ハンセン工房によって製作された円形の伸長式テーブルです。直径約120cmの円形天板に2枚の伸長板を備え、最大で220cm以上まで拡張できる構造を持ち、少人数から大人数まで柔軟に対応できる機能性を備えていました。

円形というフォルムは、座る人々の間に上下関係を生まず、親密で民主的な雰囲気を生み出します。これは、デンマークモダンの理念である「平等性」と「日常生活に根ざしたデザイン」を象徴する要素であり、単なる家具を超えて生活のスタイルそのものを形づくる役割を担っていました。

一方で、1952年にデザインされたJH567は楕円形の伸長式テーブルとして発表されており、形態の違いによって異なる社会的な機能を持ちました。円形であるJH591はより親密な対話を促すのに対し、楕円形のJH567は直線的な空間に適応し、より多くの人を効率的に収容する設計でした。これらは、ウェグナーが幾何学的な形態と人間の交流の在り方を深く探求していた証左です。

ヨハネス・ハンセン工房は、見えない部分にまで徹底して仕上げを施すことで知られ、木材の自然な質感と構造的強度を最大限に生かす家具を製作しました。チークとオークといった異なる木材を適切に組み合わせることで、色調や質感の対比を際立たせつつ、堅牢性と軽快さを両立させています。

JH591は、工業化が進む1960年代においても無垢材と職人技を堅持し続けた作品であり、デンマーク家具の黄金時代の集大成的存在といえます。ギルド展を舞台に磨かれたウェグナーとハンセンの協働関係が生み出した傑作であり、後のPPモブラー社による継承へと連なる重要な架け橋となりました。

 

PAGE TOP