About
Designer: Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン)
Manufacturer: Fritz Hansen(フリッツ・ハンセン)
Year: 1955
Material: Plywood, Steel
Size: W50 × D52 × H78 × SH43 cm
Story
セブンチェア(Model3107)は、1955年にアルネ・ヤコブセンがデザインし、フリッツ・ハンセン社によって製造された一体成形プライウッドチェアです。前作であるアントチェア(1952年)で培われた技術的革新を継承しつつ、4本脚を採用することで安定性と汎用性を高め、市場における決定的な成功を収めました。
9層ラミネートによるシェル構造は、人間工学に基づいた柔軟な「しなり」を実現し、長時間の着座にも快適さを保ちます。軽量かつ最大12脚までスタッキング可能な実用性は、家庭から公共施設まで幅広い場面で採用される要因となりました。また、その有機的な曲線は自然のフォルムを想起させ、直線的なモダニズム建築空間に柔らかさを加える役割を果たしました。
バリエーションとして、アームレスト付きのModel3207、回転ベースを備えたModel3117やModel3217、さらにバースツール仕様のModel3187などが展開されています。加えて、フロントパディングやフルパディングなど張り地の選択肢も豊富で、オフィスや高級レストランなど多様な空間に適応可能です。
セブンチェアは世界で700万脚以上販売されており、デンマークモダンデザインの象徴として不朽の地位を築いています。その魅力は、建築的合理性と有機的ヒューマニズムを融合させたデザイン哲学の結晶であり、今日においても時代を超えて愛され続ける名作です。