Model2961 Unique Table | ユニーク・テーブル


About

Designer: Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン)
Manufacturer: Rud. Rasmussen(ルド・ラスムッセン)
Year: 1937
Material: Oak, Tulipwood
Size: W × D × H cm


Story

1937年にアルネ・ヤコブセンがデザインし、ルード・ラスムッセン工房によって製作された「ユニーク・テーブル(Model 2961)」は、デンマーク・モダニズム初期を象徴する特注家具として位置づけられます。この作品は、量産を前提とした後年のデザインとは異なり、個別の依頼に基づいて一点のみ製作された可能性が高いことから「ユニーク・テーブル」と呼ばれています。

当時のヤコブセンは、建築家としての活動を始めたばかりであり、家具デザインの分野ではまだ師であるカアレ・クリントの影響を色濃く受けていました。2961テーブルはその証左であり、機能性、比例感、そして素材の誠実な扱いを重視するクリント学派の理念を体現しています。

構造面では、ルード・ラスムッセンが得意としたオーク材によるフレームと丸脚、そしてチューリップウッドの天板で構成されています。天板の面取りされたエッジは、装飾的意図ではなく、職人技と素材の精度を示す要素として設計されています。接合部には蟻継ぎなどの伝統的なジョイナリーが用いられ、ネジやボルトを使用せずに高い安定性を実現しています。

ルード・ラスムッセンでは、木材を最長1年間自然乾燥させた後に加工するという厳格な品質管理が行われていました。1930年代の工房製品はこのような工程を経ており、2961テーブルもまた時間と精度の投資によって完成しています。この哲学は、ヤコブセンが後にフリッツ・ハンセンとともに手掛けた工業製品とは対照的であり、彼の初期デザインがいかに職人文化に根ざしていたかを物語っています。

ルード・ラスムッセンは2011年にカール・ハンセン&サンに統合され、その広大なアーカイブがオーデンセに移管されました。これにより、1937年製の2961テーブルの図面や製造記録が今日まで保存され、ヤコブセンの初期作品を研究する上で貴重な資料となっています。ユニーク・テーブルは、後のモダニズムへと至る前段階における、デンマーク伝統家具製作の粋を示す稀少な証言です。

 

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