About
Designer: Jørgen Henrik Møller(ヨルゲン・ヘンリック・モラー)
Manufacturer: J.L. Møller Møbelfabrik(J.L. モラー)
Year: 1974
Material: Teak, Oak, Walnut, Paper Cord
Size: W49.5 × D44.5 × H77.5 × SH45.7 cm
Story
Model 402 Armchairは、1974年にニールス・オットー・モラーの息子であるヨルゲン・ヘンリック・モラーによってデザインされました。デンマーク・オーフスの工房で生まれたこの椅子は、職人技と機能主義の融合を象徴する作品として位置づけられています。
J.L. モラー社は1944年に設立されて以来、「一切の妥協を排した製作」を理念としており、Model 402にもその精神が受け継がれています。製作工程は一貫して社内の熟練職人による手作業で行われ、量産工程を避けることで、素材の品質と構造の精度を高水準に保っています。
本モデルが誕生した1970年代前半は、同社が大規模な工場拡張を行い、日本市場への輸出を開始した時期でもありました。ヨルゲン・ヘンリック・モラーは、父の哲学を継承しながらも、契約市場(コントラクトユース)を見据えた新しい方向性を模索しました。その結果生まれた400シリーズ(401・402・404)は、耐久性と軽量性を両立した機能的な構造を特徴としています。
Model 402は、住宅用ダイニングチェアとしての美しさに加え、会議室や宗教施設など公共空間でも採用されるほどの堅牢性を備えています。背からアームへと滑らかに続くラインはモラー家の設計言語を継承しつつ、より直線的で実用的な印象を与えます。座面にはデンマーク伝統のペーパーコード編みを採用し、425フィートに及ぶ一本の紙縄を職人が手作業で編み込むことで、優れた弾力性と快適性を実現しています。
素材にはチーク、オーク、ウォルナットなどの堅木が用いられ、丹念なサンディングによって生まれる滑らかな手触りは、使うほどに経年変化の美しさを増していきます。1974年の発表以来、Model 402はデンマーク家具の伝統を次世代へと受け継ぐ象徴的な作品として評価され続けています。