About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: AP Stolen(APストーレン) / Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)
Year: 1952
Material: Oak, Walnut
Size: W70 × D70 × H84 cm / SH41 cm
Story
CH71(AP20)、通称「ミニベアチェア」は、1952年にハンス・J・ウェグナーがデザインしたラウンジチェアです。この作品は、前作のパパベアチェア(AP19)の成功を受け、より小さな空間にも調和するように構想されました。名称の混乱を招くことがありますが、オリジナルはAP StolenによってAP20として生産され、2018年の復刻以降はCarl Hansen & SønがCH71の名称で展開しています。
デザインの核心は「コンパクトな快適さ」です。1950年代の都市住宅では空間の制約が強まる中、パパベアチェアのような大きな存在感ではなく、小さなリビングにも馴染み、なおかつ快適性を犠牲にしない椅子が求められていました。CH71は、その要求に応えるべく生み出された作品です。
造形は彫刻的でありながら控えめで、すっきりとしたフレームと曲線的なクッションが調和しています。木部にはオークやウォルナットが用いられ、張り地はクッション全体をシームレスに包み込み、木工技術と張り技術の融合を体現しています。丸みを帯びたハンドルは人間工学的な快適性を高めると同時に、椅子全体の視覚的なアクセントになっています。
また、CH71は「ミニベアチェア」という愛称で親しまれています。これは、アームを「熊の手」にたとえられたパパベアチェアの小型版として生まれた呼称であり、続くCH78が「ママベアチェア」と呼ばれるきっかけにもなりました。こうした一連の「ベアチェア」群の一角を成す存在として、ウェグナー作品の中でも特異な位置づけを持ちます。
復刻版は2018年に発表され、Kvadrat社の現代的なテキスタイルや多彩な木部仕上げが用意されています。これにより、オリジナルの美学を継承しつつ、現代の居住空間に適応する柔軟性が加わりました。ヴィンテージと復刻の両方が市場に存在し、コレクターと一般ユーザーそれぞれに異なる魅力を提供しています。
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