AT11 Coffee Table | コーヒーテーブル


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: Andreas Tuck(アンドレアス・ツック)
Year: 1954
Material: Teak Oak
Size: W1300 × D550 × H500 mm


Story

AT11は、1954年にハンス・J・ウェグナーによって設計されたコーヒーテーブルです。椅子の設計で広く知られるウェグナーですが、テーブルにおいても比例と構造の関係を厳密に検討していました。本作は、構造的合理性を簡潔な造形へと整理した代表的なモデルです。

製造を担ったアンドレアス・ツック社は、テーブル製作を専門とするメーカーでした。ウェグナーは家具のカテゴリーごとに最適な工房と協働する体制を築いており、AT11はその中でリビング空間の中心に据えられるテーブルとして設計されています。他の椅子やソファとの高さ関係を踏まえた設計は、当時の家具体系全体の整合を前提としています。

天板には周囲に穏やかな立ち上がりを持つリップエッジが施されています。これは装飾ではなく、天板上の物が滑り落ちることを防ぐための機能的判断です。裏面には面取りが施され、厚みを確保しながらも側面からは軽快に見えるよう設計されています。無垢材の量感を整理し、視覚的な軽さを導く処理です。

脚部はテーパーを伴う円錐状で、わずかに外側へ傾斜しています。この角度は安定性を確保するための構造的判断であり、同時に床面との関係を明確にします。脚はノックダウン方式を採用しており、分解と再組立が可能です。輸送効率や保守性を考慮した設計は、工業化時代への適応を示しています。

素材構成はチーク天板とオーク脚の組み合わせが標準仕様です。部位ごとの役割を明確に分節することで、天板の量感と脚部の線的要素が均衡を保ちます。装飾に頼らず、接合精度と加工によって形態を成立させる姿勢は、ウェグナーが追求した構造的ミニマリズムを体現しています。

AT11は、比例、構造、素材の関係を単純化することで成立するコーヒーテーブルです。日常的な家具でありながら、設計思想と製造技術の精度が明確に表れた作品といえるでしょう。

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