AT308 Coffee Table | コーヒーテーブル


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: Andreas Tuck(アンドレアス・ツック)
Year: 1951
Material: Teak, Oak, Brass
Size: W1000 × D600 × H550 mm


Story

AT308は、ハンス・J・ウェグナーが1951年に設計したコーヒーテーブルです。アンドレアス・ツックとの協働初期に発表された本作は、ウェグナーの有機的機能主義が明確な形をとって現れた代表的なテーブルとして位置づけられます。

最大の特徴は、優美なX脚構造にあります。一般的なテーブルに見られる幕板を排し、天板が脚部の上に軽やかに浮かぶような構成を実現しています。この大胆な設計は単なる造形的効果ではなく、脚部同士を連結する真鍮製ストレッチャーによって構造的安定性を確保するという、合理的な設計思想に基づいています。

天板にはチーク、脚部にはオークが用いられる構成が多く見られます。異なる木材の質感を対比させながら、真鍮の金属光沢が全体を引き締める三位一体の素材構成は、1950年代ウェグナー作品に顕著な特徴です。構造を隠さず、むしろ美として提示する姿勢は、後年の作品へと通じる重要な転換点を示しています。

AT308は同時期のAT303やAT309と同様にクロスレッグを採用していますが、コーヒーテーブルというスケールにおいてその緊張感はより凝縮されています。生活の中心に置かれる家具として、視覚的な軽快さと十分な強度を両立させる設計は、ウェグナーの構造理解の深さを物語っています。

アンドレアス・ツックという高度な木工技術を持つ工房との協働があったからこそ、この繊細な設計は製品として成立しました。AT308は単なるリビングテーブルではなく、素材・構造・比例関係の対話によって生まれた、1950年代デニッシュ・モダンを象徴する存在です。現在もなお、その静かな緊張感と誠実な構造美は、住空間の中で普遍的な価値を示し続けています。

PAGE TOP