About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: Andreas Tuck(アンドレアス・ツック)
Year: 1959
Material: Teak, Oak, Brass
Size: W790 × D480 × H600 mm
Story
AT49は、ハンス・J・ウェグナーがアンドレアス・ツックと協働した「AT」シリーズの中でも、テーブルの延長として捉えられる移動式の小家具です。トロリーという実用品に対しても、ウェグナーは“家具としての秩序”を与え、生活行為の流れそのものを整える道具として成立させています。
設計の焦点は、水平面を二層に重ねることで生まれる機能の整理にあります。上段は手元の作業や配膳を受け止め、下段は置き場所を確保しながら全体の重心を低く保ちます。この単純な構成が、空間の中で用途を限定しすぎない柔軟さを生み、日常の場面に応じて役割を変えられる“可動の台”としての価値を高めています。
構造は、軽快さと安定感の両立を狙ってまとめられています。細身のフレームで視覚的な圧迫を抑えつつ、脚と棚の関係を明快に整理することで、移動時の揺れや操作の不安を感じにくい骨格がつくられます。ウェグナーの仕事に通底する「構造を隠さず、しかし誇張もしない」姿勢が、トロリーというカテゴリーでも一貫して表れています。
素材の組み合わせは、意匠のための対比ではなく、役割を読み分けやすくするための設計上の判断として理解できます。天板の面と、フレームの線、そしてキャスターの金属要素が、それぞれの機能を担いながら干渉しない距離で統合されています。結果として、可動家具でありながら“落ち着き”を失わず、室内の中で静かに馴染む表情が保たれます。
AT49は、椅子や大きなテーブルほど強い主張をしない一方で、生活の動線に直接触れる家具です。だからこそ、使う人の動作を受け止め、移動と停止の繰り返しの中でも形が崩れないことが重要になります。ウェグナーとツックの協働が積み上げた精度は、その要件を小さなスケールで満たし、機能と佇まいを同時に成立させています。