CH29 Sawbuck Chair | ソーバックチェア


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)
Year: 1952
Material: Oak, Beech, Teak, Walnut, Fabric, Leather
Size: 幅50 cm × 奥行き49 cm × 高さ81 cm


Story

CH29は、ハンス・J・ウェグナーが1952年にデザインしたダイニングチェアで、「ソーバックチェア(Sawbuck Chair)」の愛称で親しまれています。その名は、大工が木材を切る際に使う「のこぎり台」に由来し、A字型の脚部フレームに象徴される合理的で力強い構造美を体現しています。

この椅子はわずか8つのパーツから成り立ちながら、高い安定性と堅牢性を実現しており、戦後の資源不足の時代にふさわしい、無駄を削ぎ落とした機能的デザインの模範とされています。蒸気で曲げられたプライウッドの背もたれや、座る人に柔軟に寄り添うV字型のカットアウトなど、ウェグナーならではの彫刻的なディテールが随所に見られます。

一時は1970年代に生産が中止されましたが、1990年代にウェグナーの娘マリアーネ・ウェグナーの提案によって復活し、再び人気を博しました。この復活は、CH29が時代を超えた普遍的な魅力を持つことを証明する出来事でもあります。

ヴィンテージ期のモデルでは、チーク材の背や座をオーク材やビーチ材と組み合わせた仕様が特徴であり、現代のものではオークやビーチを主体とし、ウォルナットとのコンビネーションや多様な張り地を選択できる仕様が展開されています。

CH29は、CH28イージーチェアとの密接な関係を持ち、ラウンジとダイニングという異なるシーンを統一的にデザインする試みの一環でもありました。その誠実な構造表現と快適性は、今日においてもウェグナーのデザイン哲学「オーガニック・ファンクショナリズム」を体現し続けています。

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