About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)
Year: 1959
Material: Teak, Oak, Leather
Size: 幅61–63.5 × 奥行46–53 × 高さ71–74 cm(座面高43–44 cm)
Story
CH34アームチェアは、1959年にハンス・J・ウェグナーがデザインし、カール・ハンセン&サン社によって製造された希少な作品です。わずか5年間(1959–1964)しか生産されなかったため、デンマークモダンの歴史において特異な存在として知られています。
この椅子の最大の特徴は、当時としては非常に革新的だった「回転式背もたれ」です。ユーザーの姿勢に合わせて微妙に動く背もたれは快適性を大きく向上させましたが、その複雑な構造ゆえに製造コストが高く、短命に終わったと考えられています。
フォルムは「ヨーク(軛)」の名で呼ばれるように、牛の角を思わせる力強く流麗なアームと背のラインが特徴です。チークやオークの無垢材と、本革の座面が組み合わされ、素材の質感と構造美が融合しています。
CH24「ウィッシュボーンチェア」のように大衆的な成功を収めた作品とは異なり、CH34はウェグナーの実験精神を示す少数生産の挑戦作でした。そのため、今日ではコレクターや研究者の間で特に高く評価される「知られざる傑作」となっています。
経年変化による革の深い色合い、木材の艶、そして製造当時の刻印は、この椅子が持つ歴史的な価値をさらに高めています。CH34は単なる家具ではなく、ウェグナーの創造的野心とデンマーク家具の職人技を象徴する存在です。

