About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)
Manufacturer: Carl Hansen & Søn(カール・ハンセン&サン)
Year: 1960
Material: Beech, Upholstery / Paper cord
Size: W48 × D40 × H37(CH54:37)、W48 × D40 × H42(CH54:42)
Story
CH54:37とCH54:42は、ハンス・J・ウェグナーがデザインし、カール・ハンセン&サン社のヴィンテージカタログに掲載されたスツールです。これらの名称は現行カタログに見られる一般的なCHシリーズの番号とは異なり、当時の製品戦略や仕様を反映した呼称である点に特徴があります。
CH54:37はCH52アームチェアに付属するオットマンとして設計されました。座面の高さ37cmという寸法をモデル名に取り込んだ構成で、アームチェアとの調和を意識したフォルムが際立ちます。フレームは直線的で堅牢なブナ材を使用し、張り地仕様の座面が採用されました。椅子単体ではなく、セットとしての快適性を重視するウェグナーのデザイン哲学が色濃く反映されています。
一方、CH54:42は後にCH53として知られるスツールの初期バージョンであり、座面高42cmを示す名称でした。初期モデルには張り地仕様も存在しましたが、後年にはペーパーコードの座面が定着し、今日まで生産が続けられています。脚部の先細り加工や構造的な強度分配など、機能性と美的要素を融合させるウェグナーの手腕が端的に表れています。
これらの作品は、一見するとシンプルながらも素材と構造の正直さを体現し、日常生活において自然に溶け込む存在感を持ちます。ヴィンテージカタログ特有の呼称により一時的に忘れられたこれらのモデル番号は、現在のコレクターや研究者にとって、ウェグナーのデザイン活動を再考する重要な手がかりを提供しています。

