FD127 Highback Chair | ハイバックチェア


About

Designer: Tove & Edvard Kindt-Larsen(トーヴェ&エドヴァルド・キント・ラーセン)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1950s
Material: Teak, Rattan, Leather, Plywood
Size: W70 × D80 × H100 × SH42 cm


Story

FD127ハイバックチェアは、エドヴァルド&トーヴェ・キント・ラーセン夫妻が設計し、France & Daverkosen(後のFrance & Søn)によって製造されたラウンジチェアです。夫妻は王立デンマーク芸術アカデミーでカーレ・クリントに学び、クラシックな比例感覚を受け継ぎながらも、1950年代以降のデンマーク・モダンにふさわしい現代的な表現を追求しました。

デザインの特徴は「コントラストの美学」にあり、堅牢なチーク材のフレームと、柔軟で通気性のある籐(ラタン)や上質な革を組み合わせることで、視覚的な軽やかさと機能性を兼ね備えています。背もたれは肩から首までを支えるハイバック仕様で、人間工学的な快適性を備え、長時間の着座でも心地よさを保つ設計がなされています。

構造面では、France & Sønが輸出戦略の柱として導入したノックダウン(KD)構造が採用されていました。分解・再組立てが可能な接合部によって輸送効率を高め、同時にデザインの美観を損なわない工夫が施されています。この技術は、当時の国際輸出市場におけるデンマーク家具産業の競争力を支える重要な要素でした。

FD127はまた、伝統的なギルド展での職人文化と、産業的生産体制の双方をつなぐ作品でもあります。キント・ラーセン夫妻はギルド展の責任者を務め、最高水準の品質基準を理解していましたが、一方でFrance & Sønと協力し、国際市場に対応した産業デザインを推進しました。その結果、FD127は工芸的洗練と産業的合理性を統合する橋渡しの役割を担いました。

その後、France & Sønはポール・カドヴィウスによってCADOへ継承され、FD127を含む人気モデルは生産が継続されました。現在でも、この椅子はデンマーク・モダンの黄金期を象徴する傑作として、世界中のコレクターや愛好家に高く評価されています。

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