FD453 Sofa | ソファ


About

Designer: Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsen(ピーター・ヴィト & オルラ・モルガード=ニールセン)
Manufacturer: France & Daverkosen(France & Son)
Year: 1957
Material: Teak, Rattan, Brass, Steel, Upholstery
Size: W 200 × D 80 × H 75 × SH 42 cm


Story

FD453 Sofa / Long Chairは、Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsenが1957年に設計した作品で、デンマーク家具の輸出戦略と工業化の象徴的存在として位置づけられます。彼らの哲学である「職人技と産業化の融合」が、大型家具に応用された好例です。

このモデルの最大の特徴は、多機能性を持つ設計にあります。ソファとして使用できるだけでなく、アーム部分の機構を活用することでロングチェアやデイベッドとしても利用可能であり、限られた住空間を効率的に活用できるように考案されました。こうした柔軟性は、当時拡大していた国際市場の需要に応えるものでした。

フレームはソリッド・チーク材で構成され、軽快さと強度を両立しています。アーム部分には籐(ラタン)が組み込まれており、素材の対比が空間に軽やかさをもたらしています。さらに、真鍮とスチールによる精密な可動機構が備えられ、デイベッドへの変換を可能にしました。これらの仕組みは、単なる装飾ではなく、実際の生活に直結する機能性を意識した設計といえます。

また、FD453はノックダウン構造を採用しており、輸送効率を大幅に改善しました。デンマーク家具産業にとって輸出は不可欠であり、この分解・組立可能な仕組みは、国際市場での競争力を高めるうえで大きな役割を果たしました。

製造はFrance & DaverkosenからFrance & Sønへと社名を変える過渡期に始まり、その後CADO体制にも継承されました。この変遷は、FD453が単なる一時的なモデルではなく、工房の歴史と輸出戦略を支えた重要なモデルであることを示しています。今日においても、その精緻な構造と洗練された素材使いにより、デンマークモダンの傑作として高く評価されています。

PAGE TOP