About
Designer: Hans J. Wegner（ハンス・ウェグナー）
Manufacturer: Johannes Hansen（ヨハネス・ハンセン）、PP Møbler（PPモブラー）
Year: 1949
Material: Oak, Cane
Size: W600〜650 × D710〜820 × H740〜770 mm
Story
JH512フォールディングチェアは、ハンス・J・ウェグナーが1949年にデザインし、コペンハーゲンの名工ヨハネス・ハンセンが製造した折りたたみ式ラウンジチェアです。同年のキャビネットメーカーズ・ギルド秋季展で「ザ・ラウンド・チェア」や三部構成の合板シェルチェアとともに発表され、デンマーク・モダニズムの国際的躍進を象徴する作品群の一つとなりました。
この椅子は、軽量なフレームと滑らかな曲線美、そして折りたたみ機構に壁掛け用のフックを組み込んだ革新的な構造が特徴です。収納時には壁に掛けて飾ることができ、実用性と美しさを兼ね備えています。その機能美は「機能的な芸術作品」と称され、ウェグナーの核心的哲学である形態と機能の融合を体現しています。
フレームには耐久性と美しい木目を持つオーク材を使用し、座面と背もたれには手編みの籐を採用。有機的な質感と視覚的な軽さをもたらし、室内外を問わず多様な空間に調和します。デザインのインスピレーションには、ミース・ファン・デル・ローエのバルセロナチェアへの敬意も込められていますが、ウェグナーはそこに自らの木工技術と人間工学的配慮を加えました。
JH512は長くヨハネス・ハンセン工房で製造され、現在はPPモブラーがPP512として生産を継承。素材や仕上げのバリエーションを増やしつつも、オリジナルの構造と美意識を守り続けています。70年以上にわたる継続生産は、この椅子の時代を超越した魅力と普遍的価値を物語っています。
