Jason Møbler | ジェイソン・モブラー


Story

ジェイソン・モブラーは、デンマーク・モダン黄金期において重要な役割を果たした工房のひとつです。特定のデザイナーを前面に押し出すのではなく、カート・ウストヴィやクヌッド・ヨース、ヘルゲ・ヴェスターゴー・イェンセンといった才能豊かなフリーランスのデザイナーたちと協業し、彼らの構想を高品質な家具として世に送り出しました。特にテーブル製造における専門性は際立ち、数多くのコーヒーテーブル、ネストテーブル、ダイニングテーブルを生み出したことで知られています。

 

この工房は「メーカー兼エディター」としての性格を持ち、社内に独自のデザインチームを持たず、外部デザイナーの作品を編集し製造することで成長しました。工房が注力したのは、家具そのものの完成度とクラフトマンシップであり、企業としての歴史的物語を大きく残していない点も特徴です。

 

ジェイソン・モブラーの製品は、今日でもヴィンテージ市場において高く評価されており、特にウストヴィの彫刻的なテーブルや「ヤヌス」チェア、ヴェスターゴー・イェンセンの希少なソファやキャビネットはコレクターの間で高い人気を誇ります。その遺産は、デザインの多様性と工房の高い製造能力の融合によって形づくられており、デンマークモダンの歴史を語る上で欠かせない存在です。


About

Year:1950年代初頭–1960年代後半頃
President:不明
Designer:Kurt Østervig(カート・ウストヴィ)、Knud Joos(クヌッド・ヨース)、Helge Vestergaard Jensen(ヘルゲ・ヴェスターゴー・イェンセン)、Steen Østergaard(スティーン・ウスタゴー)、Jarl Heger(ヤール・ヘガー)
Place:Denmark(デンマーク)


History

1950:ジェイソン・モブラー設立、家具メーカーとして活動を開始
1952:初期のコーヒーテーブルやサイドテーブルの製造が確認される
1953:カート・ウストヴィがフリーランスとして独立し、ジェイソン・モブラーとの協業を開始
1955:ウストヴィデザインのネストテーブル(モデル198、214)が発表される
1956:フローティングトップのサイドテーブルをクヌッド・ヨースがデザイン
1957:収納家具の分野に拡大し、ヤール・ヘガーによるキャビネットを製造
1958:バーカートやサービングカートなど多機能家具の生産を強化
1959:ヘルゲ・ヴェスターゴー・イェンセンによるバーキャビネット(モデル63)を製造
1960:カート・ウストヴィの「ヤヌス」チェアが製造され、代表作のひとつとなる
1961:スティーン・ウスタゴーが「シニアチェア」をデザインし、ジェイソン・モブラーで製造
1962:チークやローズウッドを中心に素材バリエーションを拡大
1963:複数のダイニングテーブル(伸長式)が市場に登場
1964:ローズウッドを用いた高級ラインを展開し、コレクションの幅を広げる
1965:家具見本市に出品し、国際的な評価を得る
1966:ウストヴィとの協業が最盛期を迎え、多数のモデルを同時発表
1967:収納家具やソファの製造により、ラインナップを拡充
1968:ヘルゲ・ヴェスターゴー・イェンセンのデイベッド(モデル701)が製造される
1969:海外市場への輸出が開始され、ドイツやイギリスでも販売される
1970:市場競争の激化とともに事業が縮小傾向に入る
1972:最後の新作モデルが発表されるが、生産量は限定的となる
1975:工房の活動がほぼ終息し、以降は断続的な小規模生産のみ確認される
1980年代:ジェイソン・モブラーの家具がヴィンテージ市場で再評価され始める
1990年代:ウストヴィのテーブルや椅子が国際オークションで高値を記録
2000年代:研究者やコレクターによってジェイソン・モブラーの歴史が再検証される
2020年代:日本や欧米のヴィンテージ市場で安定した人気を持ち続ける


Furniture

・Coffee Table 198
・Coffee Table 214
・Nest Table
・Dining Table 183
・Serving Cart
・Bar Cart
・Janus Lounge Chair
・Side Table Floating Top
・Cabinet
・Shelf Unit
・Bar Cabinet 63
・Daybed 701
・Senior Chair

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