JH515 Armchair | アームチェア


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: Johannes Hansen(ヨハネス・ハンセン)
Year: 1950s
Material: Teak or Oak, Leather
Size: W53–72 × D45–64 × H78–81 × SH40–43 cm


Story

JH515アームチェアは、ハンス・J・ウェグナーが1950年代にデザインし、マスターキャビネットメーカーであるヨハネス・ハンセン工房によって製作された稀少なラウンジチェアです。オープンフレーム構造と低めに設定された座面高は、リラックスした着座を想定して設計されており、デンマーク・モダンの美学を端的に表しています。

この椅子の最大の特徴は、彫刻的に削り出された無垢材のフレームと、レザー張りの座面・背もたれとのコントラストにあります。フレームにはチークやオークが選ばれ、職人の精緻な加工技術によってほぞ継ぎなどの伝統的接合が施されました。これにより、軽快で開放感のあるデザインと、堅牢で安定した構造とが両立しています。

JH515は、ウェグナーが初期の伝統的な椅子から1960年代以降の大胆で彫刻的な造形へと向かう過渡期に位置づけられる作品です。中国明代の椅子に触発されたチャイナチェアシリーズや「ザ・ラウンドチェア」の流れを汲みながら、より現代的な造形を志向している点が注目されます。

仕上げにはオイルフィニッシュが用いられ、時間の経過とともに木材に深みのある経年変化が現れます。これはウェグナーとハンセン工房が共有した「素材の美を引き出し、時を重ねるごとに価値を増す家具を作る」という哲学の具現化です。

また、JH515はコペンハーゲン指物師ギルド展に出品された作品群と同様に、最高水準の技術と美学の結晶といえます。その製造数は限定的であり、ヨハネス・ハンセン工房の刻印やラベルが付されたオリジナルは、現在でも希少な存在として高く評価されています。

 

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