About
Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: Johannes Hansen(ヨハネス・ハンセン)
Year: 1953
Material: Teak, Oak, Steel
Size: W195 / W215 × D95 × H72 cm
Story
JH571「アーキテクツデスク」は、1953年にハンス・J・ウェグナーがデザインし、名工ヨハネス・ハンセンの工房で製作されたデスクです。1954年のコペンハーゲン家具職人ギルド展において発表され、「ザ・チェア」(JH503)と並べて展示されたことで、現代的なエグゼクティブ空間を象徴する存在として大きな注目を集めました。
このデスクの最大の特徴は、天板、引き出し、脚部が独立した要素として構成されている点にあります。引き出しは幕板に組み込まれるのではなく、天板の下に吊り下げられており、構造を隠さない透明性のある設計を実現しました。こうした「正直な構造」は、ウェグナーのオーガニック・ファンクショナリズムの哲学を体現しています。
脚部は外側に広がる角度で設置され、対角線上のスチールブレースによって補強されています。これにより、大きな天板に安定性と剛性を与えつつ、視覚的に開放的な印象を維持することに成功しました。チーク材の天板とオーク材の脚部、そしてスチールのコントラストが、素材の個性を際立たせています。
このモデルは「ザ・チェア」と「スイヴェルチェア」(PP502)と並ぶ三部作の一角をなし、最高級の書斎やオフィス空間に調和するよう構想されました。ヨハネス・ハンセン工房での精緻な職人技により実現したJH571は、単なる作業机ではなく、デザイン哲学とクラフツマンシップを融合させた機能的な彫刻といえます。
現在ではPPモブラー社が「PP571」として復刻生産を行っており、オリジナル同様に高品質な無垢材と金属を組み合わせ、ウェグナーの理念を現代に伝えています。