JH756 Dining Table | ダイニングテーブル


About

Designer: Hans J. Wegner(ハンス・J・ウェグナー)
Manufacturer: Johannes Hansen(ヨハネス・ハンセン)
Year: 1960
Material: Teak, Steel
Size: Ø150 × H67 cm(拡張時:L250 × W150 × H67 cm)


Story

JH756 ダイニングテーブルは、ハンス・J・ウェグナーが1960年頃にデザインし、ヨハネス・ハンセン工房によって製作された稀少な作品です。直径150cmの円形天板を備え、拡張板を追加することで最大250cmの楕円形テーブルへと変化する構造を持ちます。この拡張機能により、日常的な使用から大人数の集いまで柔軟に対応することが可能となっています。

本作の大きな特徴は、チーク材の天板とスチール脚という異素材を組み合わせたハイブリッド構造にあります。ウェグナーは木材を主体とする作品が多い中で、あえてスチールを採用しました。これは単なる意匠ではなく、大径テーブルにおいて着席者の脚周りの空間を最大限に確保し、安定性を損なわないための機能的解決策でした。スチール脚は古艶仕上げが施され、チーク材の深い質感と調和するように意図されています。

さらに、スチール脚の基部にはチーク材の「靴(shoes)」が組み込まれています。これはスチールと木材の間をつなぐ緩衝材としての役割を果たし、冷たさを持つ金属と温かみを持つ木材の調和を図る設計要素です。これにより、異素材を統合しながらも、全体として有機的で人間的な美しさを失わない構造が実現されました。

JH756は大量生産を目的とした製品ではなく、ヨハネス・ハンセン工房が持つ高度な技術力を示すショーケース的な存在です。複雑な拡張機構と異素材の精緻な接合を可能にしたのは、工房の職人たちによる高い精度の手仕事でした。このテーブルは、ウェグナーの機能主義的哲学と、工房の卓越したクラフトマンシップの融合によって成立した、デンマークモダン家具の特異な到達点といえます。

 

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