Story
Johannes Hansen(ヨハネス・ハンセン)は1940年代にJohannes Hansen(ヨハネス・ハンセン)により創業された工房です。ヨハネス・ハンセンは20世紀中期のデンマーク家具デザイン界において欠かすことのできない存在です。ヨハネスハンセンは素材の美しさを最大限に引き出す職人技を追求し続け、デンマークのクラフトマンシップの精神を体現しました。1940年代から1990年代にかけて、ハンス・ウェグナーのデザインした家具を中心とした高品質な手仕事による家具を生み出し続けました。
ヨハネス・ハンセンはコペンハーゲン家具職人組合の設立者の一人であり、その年次展覧会を通して伝統的な職人技と革新的なデザインが交差する場を作り出しました。この展示会への参加を生涯続けたことからも、彼の業界への献身ぶりがうかがえます。工房では大量生産を避け、細部にまでこだわる姿勢が徹底されていました。ヨハネスハンセンの工房から生み出された家具には、素材への強いこだわり、繊細なライン、そして有機的なフォルムが共通して見られ、それらはまさに「機能美と職人の技術の融合」を実現したものでした。
特筆すべきは、ハンス・ウェグナーとの運命的な出会いと長きにわたる協業関係です。1940年の出会いを契機に、翌年から家具職人組合展で共同出展を開始し、以後26年にわたって協力関係を築きました。当時のデンマークでは、デザイナーと家具職人の間の協力が不可欠であり、ヨハネス・ハンセンは、ウェグナーの革新的なデザインを具現化するための卓越した職人技の頂点を体現していました 。ヨハネス・ハンセンの職人芸と、ウェグナーのデザインにおける才能が融合することで、世界的に認められる家具が生み出されたのです 。二人の年齢差、ハンセンがウェグナーより26歳以上年上であったという事実は 、当初は師弟関係に近いものであった可能性を示唆していますが、時が経つにつれ、それは相互尊重と創造的な相乗効果を伴う対等な協力関係へと発展しました。
その作品群は今なお世界中で高く評価されていますが、特に「ザ・チェア」は、1960年の米大統領討論会で使用されたことから一躍有名となり、「ダニッシュ・モダン」の象徴とも言える存在となりました。1961年にヨハネスハンセンが他界した後も、末息子ポール・ハンセンが工房を引き継ぎ、特にハンス・ウェグナーとの協業関係はその後も続けられました。しかし1966年のキャビネットメーカーズギルド展の消滅と同時にウェグナーとの関係が薄れ、デンマークモダン家具の衰退や機械により効率的な家具生産という時代の変化に対応できずに1990年頃に廃業を余儀なくされます。 ヨハネス・ハンセンの破産は、デンマークの家具の歴史における重要な時代の終わりを示しています。ヨハネス・ハンセンが製造していたウェグナーの家具の製造ライセンスはPPモブラーに移され、製造が続けられています。
ヨハネス・ハンセンの家具職人の技術と献身は、ウェグナーのデザインを革新的なコンセプトを永続的で象徴的な作品へと昇華させる上で不可欠でした。現在のオークションでヨハネス・ハンセンの製造した家具が高値で取引されていることは、ヨハネス・ハンセンが生産した家具の卓越した品質の証です。ヨハネス・ハンセンは、単にデザインしたものを製造することだけではありませんでした。それは、家具を芸術の域にまで高める職人技のレベルをもたらすことでした。材料と接合部の専門知識とウェグナーのデザインが組み合わさることで、美的にも優れ、構造的にも堅牢な作品が生まれ、デンマーク・モダンの永続的な魅力に大きく貢献しました。 この工房の歴史は、デザインと職人技が出会うことで生まれる創造的エネルギーを象徴し、デンマークモダンの魂を体現しています。
About
Year:1930年代 – 1990年代
President:Johannes Hansen、Poul Hansen
Designer:Hans J. Wegner(ハンス・ウェグナー)、その他
Place:Copenhagen(コペンハーゲン)
History
1927: コペンハーゲン家具職人ギルド展設立に参画、後に会長を務める
1930: コペンハーゲンにヨハネス・ハンセン工房を開設
1940: ハンス・J・ウェグナーと協業を開始
1941: ギルド展で最初の共同作品を出展
1944: フィッシュ・キャビネットを製作、ウェグナーの実験的構想を実現
1947: ピーコックチェア JH-550を発表
1949: フォールディングチェア JH-512を発表
1949: ザ・チェア JH-501(ケイン座)を発表
1950: ザ・チェア JH-503(レザー座)を発表
1952: カウホーンチェア JH-505を発表
1953: ヴァレットチェア JH-540を発表
1955: チェア JH-510などダイニングチェアを製作
1956: シェルチェア JH-702を発表
1960: ケネディとニクソンのテレビ討論会でザ・チェアが使用され世界的に有名となる
1961: Johannes Hansen死去、息子Poul Hansenが工房を継承
1961: ブルチェア JH-518を発表
1965: 工房マークに電話番号入りの金属プレートを導入
1966: 家具職人ギルド展が終了、活動の場が国際展示会へ移行
1970: ウェグナー作品の製作を継続し、国際的評価を確立
1975: JH-701などラウンジチェアの展開を拡充
1980: 主要作品が美術館コレクションに収蔵される
1985: 工房の生産規模が縮小し、輸出市場に焦点を移す
1990年代: 工房閉鎖、PPモブラーにライセンスが継承される
Furniture
・Peacock Chair JH-550 | ピーコックチェア
・Folding Chair JH-512 | フォールディングチェア
・The Chair JH-501 | ザ・チェア(ケイン座)
・The Chair JH-503 | ザ・チェア(レザー張り)
・Cow Horn Chair JH-505 | カウホーンチェア
・Valet Chair JH-540 | ヴァレットチェア
・Bull Chair JH-518 | ブルチェア
・Shell Chair JH-702 | シェルチェア
・Dining Chair JH-510
・Armchair JH-513
・Lounge Chair JH-701
・Bench JH-570
・Side Table JH-570A
・Sofa JH-801
・Fish Cabinet | フィッシュ・キャビネット
Imprint/Label
・1950年代:焼印や刻印「JOHANNES HANSEN COPENHAGEN DENMARK」を使用
・1950年代:紙や箔のシールを併用、モデルによって異なる
・1950年代後半~1960年代:初期の金属プレートを導入、JH-513などに採用
・1965年頃以降:電話番号入りの角ばった金属プレートに移行
・モデルごとに異なる仕様があり、JH-503にはプレートがなく、JH-513には焼印がないといった特徴がある






