About
Designer: Verner Panton(ヴェルナー・パントン)
Manufacturer: Plus-linje(プルス・リネ)、Vitra(ヴィトラ)、Fritz Hansen(フリッツ・ハンセン)
Year: 1958
Material: GRP (glass fibre reinforced plastic laminate), stainless steel base, polyurethane foam, fabric upholstery
Size: W 57 × D 62.5 × H 82 cm / Seat Height 49 cm
Story
コーンチェアは、逆円錐という純粋な幾何学をそのまま座る器に転用した試みです。造形の緊張感を保ちながら、回転機構付きの十字ベースで軽やかに支え、視覚の鋭さと実用性を両立させています。
1950年代の木工中心の文脈から一歩離れ、工業素材を積極的に採用した点に、この椅子の意義があります。内部のフォームと着脱式クッションは適切な保持力を生み、見た目の先鋭さに反して落ち着いた座り心地を提供します。
誕生の背景には、空間全体を一体で構想するデザイン姿勢があります。色彩と形態を統一し、椅子を室内の核に据えることで、環境そのものを更新する考えを明確に示しました。
構造は成形シェルを中心に据え、下部を一点で受けるベースが全体のバランスを整えます。幾何学の純度を損なわずに人間工学的配慮を織り込み、多様な空間での活用が期待されます。
製造史も独特です。従来の体制に収まらない設計を実現するため、専用の生産体制が整えられ、のちに国際的なメーカーへ継承されました。形態・素材・生産の三要素が連動し、デザインの可能性を拡張した一脚と言えます。